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◆除霊と輸血

「ハクトダルヌと貴具(きぐ)さんを呼んできてください」

 宝蔵院は晴海にお願いした。すぐに走り出して城にまだいる二人を呼びに行った。

「天鼓君、どういった方法で百花の血を抜きさるんだ」

「百花さんが晴海の血を抜いた方法を使うんですが足りなくなった分の輸血にあなたと貴具さんが必要なんです」

「どうやってこの汚れた血を抜くおつもりなんですか」

 百花は宝蔵院の目を見て尋ねた。

「実はハクトダルヌの力を使うつもりです。彼女は炭素生物の身体のコントロールが可能なんです」

 修羅猿を精製する工程を知った宝蔵院はその能力を研究していたようだった。

「アスタロトたちを倒すために彼女の体で杭を作らせてもらっていてあの血を吸収する特性に気が付いたんです。それで彼女にあなたの血液を吸収してもらうつもりです」

「そんなことでこの体が除霊できるんですか。これで普通の親子に戻れるんですね」

「ええ、任せてください。約三リットルの成分を取り去りますので生命の危機がありますことを伝えておきます。それでB型の血液が大量に必要なんです」

 百花の血液型はBであった。永晴と貴具がB型、そして晴海もそうであるが彼女は今血液が足りていないため採血ができない。

「俺の血液ならいくらでも使ってくれ、全部取ってくれてもいい」

「永晴さんそれは無理ですよ一リットルくらいは覚悟してもらいますけど」

「天鼓君連れて来たけどどうするの」

 晴海は二人を引っ張て来た。

「何をするつもりなんだよ。宝蔵院」

「ハクトダルヌさんには前に行っていましたが今から百花さんの体から悪しき血を抜き去ってもらいます。貴具さんは足らなくなる血の献血をお願いしたいんです。もちろん協力してもらえますよね」

「断れるわけないだろこの状況でお嬢ちゃんのために一肌脱いでやるよ。礼は要らないぞ」

「いつも憎たらしくて気に食わない人だけど、今日だけは礼を言わせて」

 深々と頭を下げる晴海と永晴

「では採血させてください」

「私も血を抜いて」

「だめですよ今貧血状態でしょ。顔色もまだ真っ白だ」

「天鼓君三リットルもいるんだろ。足りないんじゃないか」

 にやりと笑う宝蔵院

「少しは人造血液を追加しますが僕もB型です。水無瀬さんの為に協力します」

「もう天鼓君、こんなに助けてもらうのに水無瀬さんはやめて晴海と呼んで」

「いいんですか呼び捨てして」

「もちろん大親友でしょ」

 晴海が笑うと宝蔵院も照れながら笑った。


「準備はできました。百花さん上着を脱いでそこに背中を向けて座ってください」

 言われるように座った百花の背中にハクトダルヌが両手を添えた。電流が走ったように震える百花、力が抜けていくように前にかがんでいった。

「終わったわ。これですべて吸収した」

 ハクトダルヌは抱えるように百花をベットに連れて行った。素早く宝蔵院は輸血を始めた。百花は眠ってしまったようだ。

「これで目を覚ませば晴れて普通の体です。成功しました」

「ありがとう」

 両手をつかんだ永晴は涙を流している。晴海は母のそばで涙ぐんでした。

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