◆汚れた血
「おい、牛男!卵はどうした。雑炊には卵だろ」
貴具が騒いでいる。
「貴具さん、卵は入れないほうが美味しいんですよ。フグのいい出汁を楽しまないともったいないですよ」
「坊ちゃまの言うとおりだす。卵は味を鈍らせますだで塩と醤油でフグからの旨味をあっさり味わっていただいた方がベストだすよ。それに牛男じゃなくてタウロだす!」
タウロが貴具に説明をしたが
「俺は卵を入れたいんだ、持って来いよ」
「こら侃わがままをいうんじゃない。拙者はその澄んだ味を楽しんでみたいぞ」
師匠に言われては仕方ない渋々言うことに従い雑炊は作られた。
「おお、本当でござるぞ。フグの味がよくわかるし、なにより旨い」
「初めててっちりを食べたけど雑炊は他の鍋より断然美味しいですね。もしかして他の鍋でも卵を入れないほうがその味を楽しめるのかな」
「そうですよいい出汁が出ていればそうじゃない時は卵もありかな」
晴明は得意げに話していると。デザートが運ばれてきて食事は終わった。それぞれお茶や酒を飲み語らっていると
「さあ、天鼓君、見せてあげる」
錫杖を取り出した晴海は新フォームに変身して型を披露していた。
「これはすごい、前の時よりはるかに性能が上がっていますね」
いつの間にか取り出した測定機器で計測していた。
「そうでしょ、体が思いっきり軽いのよ。切れもあるしやっぱりパワーアップしていたのね」
「もっと詳しく調べたいので飛行船まで戻りましょう」
晴海の手を引っ張り宝蔵院は飛行船まで戻って行った。彼女の両親も何事かとついて行っていた。こうなると宝蔵院は止まらない。詳しく晴海の体を調べ始めた。
「なんですか!あの血の成分がなくなっています。何かあったんですか」
晴海の母の血、バンパイアの血液成分がきれいになくなっているのであった。
「ママに血を吸われたからかな」
宝蔵院は考え込んだ。
「もしかするとお母さんも普通の人間になれるかもしれませんよ。仮定が正しければ」
「私、元に戻れるの天鼓ちゃん」
「そうすればいいんだよ。できるならやってくれないか」
永晴もその仮定を信じたようだ。




