◆てっぽう
晴明はタウロを召還して宴席の準備を命じた。もちろんツーロン島で仕入れた食材と共に
「父さん、それでキビツ遺跡の手がかりはつかめたの」
「つちぐまが知っていたよ」
「つちぐまさん?」
周りを見ると修羅猿がニコニコ笑っている。
「坊主、俺も生き返ったぜ」
「ええ、修羅猿さんが?そうなのそれじゃツキノワ君も呼ばなきゃ晴海お願い」
晴海は錫杖を取り出すと日輪と月光を召還した。そして
「オン ア・ラ・ハ・シャ ノウ!」
パシリと手を閉じた。二体が重なったと思うとツキノワを召還した。
「晴海何かピンチかな」
「ちがうの驚かないでね。ほらお父さんよ」
晴海はつちぐまのところへ案内していった。なんのことかわからずにいると
「父ちゃんも蘇ったよ」
「えっほんと!」
「お前と一緒でこんな俺は三匹の猿の体だがな」
晴海がその言葉に驚いて
「お前と一緒ってどういうことツキノワ君」
「あれ説明していなかったけ、僕も死人だよ。日輪と月光が助けてくれたんだ」
オオガミがそこに加えて説明してくれた。
「昔、俺と一緒に戦った時にツキノワは死んでしまったんだが一緒に戦ってくれた日輪と月光が身を挺してこんな形で蘇ったんだよ。まさか親子そろってこんなことになるなんて」
ツキノワの身の上がこんな形で露呈するとは思いもしなかった晴海であった。
「もしかしてオオガミさん、銀羽教との戦いの時、うーんますます詳しく聞きたくなってきたな」
「しゃべらないぜ晴明、残念だけど」
「もう意地悪っ」
「晴明、そのうちに俺が聞き出してやるよ。それよりメインディッシュはなんだ」
テーブルに先付の小鉢と刺身の盛り合わせが並んでいるだけであった。そこにタウロと数人が大きな皿を幾枚かを運んできた。
「おい皿には何も乗ってないぞ」
つちぐまが不思議そうに皿を見ているが晴人たち向こうから来た人間は笑っていた。
「てっさですよ、つちぐまさん美味しいんだから」
よく見ると薄い白身の刺身が牡丹の花のよう並んでいた。
「晴明、こっちでよくこんなものよく見つけたな」
「前にツーロン島の海を潜った時に見つけたんだけど調理できないから捕れなくて悔しかったんだ。でも今日はタウロがいるから」
「ということは鉄砲鍋かメインか」
晴明は親指を立てるとつちぐまは
「なんだ晴明、鉄砲鍋って、火薬でも食うのか」
どっと笑いが起こった。久遠が
「フグ料理ですよ。食べるとあたり、あたれば死ぬこともあるということからフグのことを<鉄砲>と呼ばれていたことから鉄砲鍋というんですよ。実は僕食べたことがないんですけど」
「久太郎は貧乏だからね。私は舎利弗のおじさまと食べたことがあるけどね」
「もう本部長、僕にもごちそうしてくださいよ」
晴海は笑っていたが
「毒のある生き物は旨いといいますがその美味さ故、身を守るためにテトロドトキシンという猛毒を持つんですよね」
宝蔵院が言った。
「まあ食べればわかるよ美味しさが百花」
「何よ貴方、私が毒を持っているといいたいの」
「パパもママも何のろけているの」
「さあみんな食べてくだい」
というとつちぐまは箸で皿の半分くらいを救い取っていった。
「あっそれルール違反でござる」
御堂が真顔で怒っていた。




