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◆マナーコ城で墓参り

 遺蹟探索チームは宝蔵院の希望でいったんマナーコの城へ立ち寄った。

「シロクマ氏の墓は何処ですか」

「なんだ天鼓、思いのほか律儀だな。俺も参らせてもらおうか、オオガミついて来いよ」

「晴人さん違うんです。魔核を採取したいんです」

 信心深いどころか墓を暴こうとする不届きな宝蔵院であった。晴人はシロクマの跡を継いだ現城主に墓の場所を聞き宝蔵院に伝えると、城の裏にある霊園に向かった。

「墓を暴くとは言っていないから見つからないように素早くやれよ」

「心配いりませんよ」というと案内してくれた衛兵が向こうを向いているのを見て杖を地面に突き立てた。

 少し地鳴りがすると宝蔵院の元へ地面を突き破り真っ赤な魔核が飛び込んできた。空いた穴を足で素早く(なら)すと

修羅猿(しゅらさる)さんこれを飲み込んでください」

 とんでもないことを言いだした。

「そういうことか」ハクトダルヌは理解したようであった。

 一口で飲み込み終えると修羅猿(しゅらさる)は片膝をついて目を閉じた。

 オオガミが近づいて見下ろしている。修羅猿(しゅらさる)が目を開きオオガミを仰ぎ見た。

「久しぶりだなオオガミ、娑婆(しゃば)は空気がいいな」

 立ち上がると深呼吸をした。

「やっぱりな気配で分かったぜ。ツチグマ」

 なんと修羅猿(しゅらさる)を依り代にツチグマが蘇ったのである。

「こうするとこのあたりの探索が便利になると思ったんですよ。早速ですがツチグマさんキビツ遺跡について知っていることを教えてください」

「あんな何もないところに何の用だよ。オオガミも知ってるはずだろ」

「なんのことだ俺は知らんぞ」

「俺のワインセラーだよ」

「あそこか。この城の地下通路を使って行ける場所じゃないか」

「あそこの床に日本語で稷兎(きびつ)と記されていたぞ」

 ツチグマは槌熊(つちぐま)として平安を生きた男であった。

「船を使わずとも行けるということか、さっそく案内してくれ」

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