◆導魔派鞍馬一刀神流
「あれは一つ目入道、怪力と巨体に似合わず敏速さを持っている妖怪です」
久遠は過去の捜査資料から敵個体を特定した。
「力任せの怪物ってやつでござるな。われに任すがよかろう」
御堂はそう言い放つと肩に背負た日本刀を抜いた。
「いざ参る」
言い終わるや否や高速でジグザクに敵に突進していった。御堂を手に持ったこん棒で大上段からたたき伏せる一つ目入道、床が割れ下の階層迄突き抜けていった。
「御堂さん!」
久遠の目には御堂が叩き潰されたかのように見えていたが一つ目入道のサイドから勢いよく刀が突き抜く、首を曲げ避けるがその頬はざっくりと鮮血がしたったている。御堂はそのまま壁を足場に反対サイドから同じように刀を突き立てる。
「思った以上に硬い外皮でござるな。では」
片手で印を結ぶと
「付与、ちはやぶるかみのちぎりしほむろあれ、炎装」
御堂の刀身が赤く燃え立つように輝くとさらにスピードを上げて左右から交互に切りつけると、一つ目入道の両足の腱を切り裂いた。崩れ落ちる巨体、とどめの一撃が放たれた。
「無想閃光斬」
胴体を真っ二つに切り裂いて刀を鞘に納めた。
「まだです!御堂さん」
久遠がまた叫ぶと天井からもう一体の一つ目入道が飛び降りてくるが御堂はあわてず同じ作業を繰り返した。
「さすがお見事、師匠」
手を叩き、笑顔を見せる貴具に開け版垂れた天井から無数の火弾が襲いかかった。
「貴具さん!」
一瞬の出来事であった。久遠の目の前で窓を突き破り消えていった貴具
「侃、あれほど油断するなとあれほど何度も言っておったのに、久遠くん上に進もう」
「ちょっと御堂さん待ってくださいよ。貴具さんが…」
何も聞こえないかのようにぽっかりと空いた天井へ飛び込んでいく御堂、慌てて階段で駆け上がる久遠の前に火弾を放ったガーゴイルが待ち構えていた。
「久遠くんも加勢頼むよ。ささがにのくもよきたれい竜巻斬」
空を切る御堂の刀から小型の竜巻がガーゴイルに放たれた。バランスを崩し墜落するガーゴイルを切り裂いていく御堂、久遠は宝蔵院仕様の357マグナムを装填した銃でガーゴイルに向け打ち放つ、特製弾倉は魔法を付与され着弾と同時に爆発をする。手際よく六発の弾倉を補充しながら、あっという間に今のフロアのガーゴイルを駆逐すると
「そろそろ次は屋上でござるな。斥候を頼むでござる」
偵察を頼まれた久遠は屋上フロアへの扉を静かに開き中に踏み込むとオート危機対応のスーツが反応して素早く振り返り銃を構えた。
「おいおい、銃を下ろせよ」
なんと貴具が立っていた。
「貴具さん、どうして、心配したんですよ」
「導魔大師匠のご加護だよ」
御堂も屋上へ上がると
「導魔法師さまの土壁護符のお守りのおかげでござる」
「八雲隊長の護符?」
「エアバックみたいなもんだよ。突然の攻撃に発動するお守りを首からかけていたんだよ」
「修行のあとプレゼントしてくれたんだ二人に」
晴人の愛情であった。昔大きな作戦で失った仲間達のようにならないように考え授けたのであった。
「さて、飛行船の人たちを開放しに行くか」
屋上に停泊する真っ黒な飛行船に向かう貴具であった。




