◆ツーロン島攻略出航
朝もやの海岸、竜宮丸に向かう晴明たちいよいよツーロン島攻略へ出発だ。
「おはよう!晴海!家族水入らずで楽しめた」
竜宮丸の前で晴明が叫んでいるがハッチは開かない。
「まだ寝ているんじゃないか」
貴具がそう言っていると百花が顔を出した。
「ごめんね。夜中までしゃべっていてまだ晴海もパパも寝ているのよ。さあ入ってい頂戴、コーヒーでも入れるから」
船内のダイニングでコーヒーが入るの待つ晴明たち、しばらくすると永晴が起きてきた。
「やあ、おはよう、昨日は気を利かせてくれてありがとう。おかげで楽しい夜を過ごせたよ」
「よかったですね。晴海のパパとママ」
「晴海様も喜んでいたでしょう」久遠もニコニコと嬉しそうだ。
「あの皆さん方、朝食は済ませていないようでしたらついでに作りますけど」
コーヒーを持ってきた百花が聞いてきた。
「お言葉に甘えていただきましょうか」
「僕も手伝います」
「いいのよ、ゆっくりコーヒーを飲んでいて」
百花はキッチンに戻って行った。すると永晴が晴明の前に立ち頭を深々と下げた。
「晴海を助けていただいただけでなくアスタロトまで退治してくれただなんて本当にありがとう」
晴明をハグする永晴
「それが旅の一番の目的ですよ。できることをしただけです」
「いや、そんなレベルのことじゃない。百花ともども君には感謝しかない。特別に晴海と付き合うことを許してやろう、但しまだ中学生だ。節度のある付き合いをするんだぞ」
両肩を力強く掴まれながら睨みつけられている晴明
「ええ、もちろんですよ」永晴の迫力に気おされてつい言ってしまったが、まだ中途半端な気持ちの晴明であった。
「で君のご両親はどうした。昨夜はいたようだったが?」
交際の挨拶でもするつもりだったのだろうか。
「あっ別のミッションで遺蹟探索に行きました」
「遺跡探索だって、どんな遺跡だ興味があるぞ」
考古学者の血が騒ぐのであろう。目を輝かせて聞いてきた。
「キビツ遺跡というんですがオオガミさんと関わりがあるみたいなんです」
「キビツだって・・・どこかで聞いたことがあるな」
「本当ですか、何か思い出したら聞かせてください」
みそ汁のいい匂いが漂ってきた。
「この船のキッチンって何でもあるのね。驚いちゃった」
おそらく晴明のためにタウロが置いていったのであろう。食卓にはわかめの味噌汁と焼きじゃけとお漬物が並んだ。
「美味しそうでござる。こんな感じの朝飯は久しぶりじゃ、遠慮なくいただくとしよう」
御堂はいただきますと言うとパクパクと食べ始めた。遅れて目をこすりながらTシャツ一枚で晴海があらわれ
「おはよう。。。あっみんないる!」
慌てて逆戻りをしていった。
「もう、あの子ったら寝ぼけているのかしら」
急須からお茶を注ぎそれぞれに渡す百花、晴海は身支度を整えて再び戻ってきた。
「おはようございます。昨夜はありがとうございました」
頭をぺこりと下げて晴明の隣に座った。
「ダーリンもおはよう」というと目をつぶってキッスを待つそぶりをする。
「おはようよく眠れたみたいだね」
晴海の期待は無視して味噌汁を飲んでいる。
「もう、晴明たら、お目覚めのキスは」
「こら!晴海、場所をわきまえなさい」
「パパ冗談よ。ママ私もご飯頂戴」
「おはよう晴海様」
「久太郎、おは」
カグヤのことで悩んでいたがいつもの晴海が戻ってきたようであった。そんな普通の朝ご飯風景が晴明にとっては一番の御馳走であった。




