◆謎の解明
晴人は宝蔵院の推論に夢中になって耳を傾けた。
「もしかするとこの二つの大陸共に私たちの世界から来たものではないかと思っています」
「それはまた飛んでも推論だな。この異世界とわしたちの世界は昔から繋がっていたとは」
軽足も乗っかて来たが
「それがどうしたというんだ。一万年も前のことと今がどうつながるというんだよ」
「オオガミは黙っていろ。もっと聞かせてくれ」
「この先はまだ考察中でまとまっていないんです。ことが事だけに数多の分岐点からの考察が必要ですから、キビツ遺跡で見つけられる何かそれを解くカギがあると見ていますがね」
宝蔵院はこのアドベンチャーにそんな期待を持っているのであった。
月明かりの下ドーマハルト号はゴランの屋敷前に着陸を果たした。来訪の連絡は入れていない。屋敷の扉の前で晴人は
「ゴラン!出てきてくれ」
静かに扉が開くとエージェントJがあらわれ深々とお辞儀をすると静かな声で
「どうぞお入りくださいゴランがお待ちです」
晴人、オオガミ、宝蔵院は屋敷の奥と消えていった。
竜宮丸のキャビンの中では水無瀬親子が長い空白を埋めるように忘れお互いの苦しかった旅や強いきずなで結ばれた仲間たちのことを時が過ぎるのを忘れ語り合っていた。
船の外では焚き火を囲み晴明が御堂たちに教団の首領と思われているアスタロトの最後を報告していた。
「ということはアスタロトは妖怪天邪鬼に変化をして封印の丘で君の空間斬によって倒されたということでいいんだな」
「倒すこと事ができたのかどうかはわかりませんがこの世界から消え去ったと天鼓は断言しました」
「今度は異空間に封じ込めたってことか・・本当に意味もなくそんなことをしたのかな」
貴具は不安を焚きつけるようにぼそりとつぶやいたが久遠は
「晴海様の母上を長い日々監禁していた教団はその血を引く娘を使って何かをしようとしていたんですよ。その目論みがかなわずに破れかぶれの行動じゃないですかね」
「そんな浅はかな男なのかね」
「侃最悪の事態を考え行動せよと教えはしたが今は明るい希望を信じなさい」
御堂が諭すとごろりと横になってしまった。それを合図とするように明日に備え休息をとったチームであった。
日の登る前から浜辺で沖を見る久遠が
「いきましょう」
皆を起こして竜宮丸へと向かって行った。




