◆過去のオオガミの秘密
「晴人よ、アーカムスはいいやつだったな。お前がなぜあんなカラー名をつけた部隊を作ったのか昭和の時代まで生きてやっとわかったぜ。大笑いしたよテレビの前であんな子供だましが理由だったとはな」
過去の世界シーモフサルトとの戦いでオオガミを隊長とした戦闘部隊に赤、青、黄、緑、ピンクとカラーリングして晴人は中隊長レンジャー名付け指揮していた。
「今更アーカムスの話なんぞ持ち出してきてなんだよ。昔話でしたいのか・・ちょっと待て、誰か死んだのか」
晴人はオオガミの顔を見た。オオガミはいつもと変わらぬ表情で
「カグヤが消失した」
「消失?どういうことだ」
「言葉通りだよ。天鼓の受け売りだが石化された晴海を元に戻す過程で体を形成する組織が不足してしまい。その不足を補うべくカグヤは自らの体で晴海を救ったということだ」
「カグヤ、謎の多い人物だったな。オオガミ、お前の女性版クローン体との触れ込みだったな。それで彼女はどうなるんだ、ただ消えただけではないだろう」
「さすが勘がいいな。彼女のデータを詰め込んだ石を残している。それを次のクローン体に転送すれば復活できるらしい」
「ふっまるでパソコンの引っ越しみたいだな。彼女にとって生きるということは何なんだろうな。ある意味お前さんの不死と変わらないじゃないか」
「まあ俺の場合は記憶がユートガルトに来てからのものしかない。その前に何をしてどう生きて来たか全くわからないがな」
晴人は妻タマモからオオガミの謎を探求する心の旅の話を聞いていた。カグヤによって約千六百年前に精神を過去のオーディンの馬に送り込まれオオガミの不死の謎を探っていたのだがその時にオオガミは稷兎として生きていた。この晴明、天鼓、タマモの旅はまだオオガミには語られていなかった。最終的に不死となったオオガミに巡り合っていないからだ。三人は不死の秘密の謎の一部はデータを収集したが黄泉津の襲撃により稷兎が死亡としたところまでしか確認をしていない。
そのことを知る晴人は
「オオガミ、そのわからない過去を知りたいか」
今度はオオガミが晴人の顔を見た。
「知っているのか、どうして」
「カグヤによって晴明、天鼓、タマモが少し調べてきていたんだが、すべての謎は解けていない。どうやらオオガミは稷兎と呼ばれて、まだ不死ではなかったそうだ」
「それでどうなった」
「すまん、それ以上はわからなかったそうだ。だがカグヤの使った術だがおそらく俺も使えるはずだ。自分で調べに行くか」
「いや今はその時ではなさそうだ。やめておく」
「そうだなきっとその時がくる予感が俺にもある。それじゃほかの報告を聞こうかビールでも飲みながら」
二人は風呂を出てラウンジに向かって行った。




