◆オオガミからの報告
スーパーカブで宝蔵院の研究所にたどり着くと愛車の軽自動車が駐車場に止まっていた。
「晴人も来たのにゃ。団長が呼んでるにゃ早く異世界の飛行船に行けばいいにゃ」
四神獣の一人、白虎のフー・スーが留守番をしていた。
「分かった。ほかに報告は」
「そうそう晴海が見つかったにゃ、よかったのにゃ、ミシエルに知らせたらとっても喜んでたにゃ、それと晴明はまだ地底世界にゃ」
「それはよかった。しかし晴明は何をグズグズしているんだ。ヘイ・オン・ワイのことはどうなっている」
「それは知らないにゃ、舎利弗本部長に聞けば何かわかるかにゃ」
「まあいい、このまま向こうに行ってから考えるよ」
そう言って異世界トンネルを起動させるハルトの後ろから
「なんだ貴方も来たのね。旅館は大丈夫なの」
「陽子、まだ向こうに行っていなかったのか。旅館はいい手伝いが見つかってミッチーとそいつらに任せてきた」
「白鳥君とそいつら?まあいいわ、早く起動させてよ。マニュアル探してたんだけど見つからなくて」
「前に天鼓君から一通りレクチャーを受けたじゃないか」
「むずかしいんだもん」
照れ隠しかなぜか甘えて晴人の背中を人差し指でなぞるタマモ
「よしセットは終わったぞ。行くか」
二人は手をつなぎ転移トンネルに入っていった。
「なんだかんだ言って仲のいい夫婦にゃ」
フー・スーは感心していた。
「団長、オオガミは何処だ」
「八雲の旦那、露天風呂にいるよ」
「ええ、オオガミっちがお風呂、ずいぶん性格が変わったものね」
「いい変化じゃないか。あんまりからかうんじゃないぞ。やっと人並みの感性が身についてきたんだから」
「はいはい、風呂上がりのビールのおつまみでも作って待っているわ」
「やっと来たか晴人、実は謎が一杯で困っているんだ」
湯船の中からオオガミが言うとかけ湯をした晴人はオオガミの横に座った。
「それで一つづつ話を聞いていこうか。まずは地底世界と地上の交流、そしてヘイ・オン・ワイの件だ」




