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◆謎の放火

「江戸時代の火消しのようでござるな。いくら延焼を防ぐためとはいえやりすぎではないか」

「なかなか訓練されていて的確な破壊を行っていますね。興味深い」

「これは何かの参考になりそうだ。町火消しを実際に見られるなんて、しかも色っぽい火消しだ」

 貴具は画像を撮りながら御堂も熱心に見学していた。

「貴具さん、正確にはドラゴノイドは兵士ですから武家火消(ぶけびけし)ですね。女性のドラゴノイドは冷却ブレスを吹きながら(まとい)を振ってますね」

「ヨシュアの僕は火炎を吹いていたが女は冷たいのかね」

「個体差があるかもしれませんよ。ヨシュアとサマラの二人しか身体検査をしてません。まだまだドラゴノイドの調査は不明な部分が多いです」

 とのんきに話をしている三人の横ではフランシスが頭を抱えていた。

「そんなに落ち込むではないでござる。二階部分は破壊されているが一階店舗部部は燃えてないじゃないか。しかしどうして火事に・・・通信装置はそんな危険性があったのか」

「電気仕掛けの装置より魔石を使ったものでしたから、原因は別じゃないですかね。放火とか!あっそれより古文書の写本は大丈夫でしょうか」

 鎮火作業が終わりドラゴノイドの一人がフランシスの元にやって来た。

「火の始末はちゃんとしていたのか、二階の本棚から出火した様であったが」

「いえ二階には今日は上がっていませんし火の気はないはずですが」

「ふーん誰かが放火していったのか。その店員は」

 フランシスの傍らでぶるぶる震えて消火を見ていた下働きの料理人ポールは

「調理場で洗い物をしていたら階段から降りてくる足音がしたものでおかしいな。旦那様は外出するとおっしゃていたのにと見に行ってみるとすでに二階は火の海に・・・・」

「出て行った人物は見ていないのか」

「はい、まったく」

「それは仕方ないな、あとで役所の者が来るから掃除を頼んだぞ」

 というと火消しのドラゴノイドは帰っていった。

「タイミングが良すぎますね。誰が火をつけたのか」

 天ミニは辺りを調べ始めたのだった。

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