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◆写本のゆくえ
小走りに急ぐフランシス、御堂と貴具もそれを追う
「妙なことになってきたな。ただぜんざいを食べに出たはずなのになぁ」
貴具は興味がないのか気のない顔で先を見て
「おい、あの煙の方角はお前さんの店の方角じゃないのか」
建材の焼ける匂いと黒々とした煙が立ちあがっているところはフランシスの店、ワイルドキャット・ハウス・ベール店に間違いなかった。
「お俺の店が・・・・なんてこったい」
頭を抱え膝から崩れ落ちるフランシス
「親方!二階のリビングから突然火が上がってきたんです」
下働きの料理人がフランシスに説明している。
「二階のリビング?侃、通信設備がある部屋ではないか」
「ええ、仕掛け扉の奥に通信機がありました」
手のつけようがないほど火は勢いを増して轟々と燃え続けていたが龍族の警備隊が火消しとして出動してきて建物を破壊し始めた。
水をかける消火作業ではなく燃えている建物自体を破壊して鎮火を試みているのだった。




