◆稷兎と遺跡
「その遺跡はどんなものだったんですか。詳しい位置を教えてもらえませんか」
天ミニは遺蹟の話にすっかり夢中である。フランシスにくらいついて行った。
「私たち家族のことをお話ししないといけないですね。私の両親は歴史学者でした。月の統合以前のこの国のこと研究していました。ユートガルトと呼ばれていた時代以前のことに興味を持っていたみたいです」
「ほうユートガルトをご存知なんですね。フランシスさんは私も晴明のお父さんからいろいろ話は聞いていますがとても興味深い時代ですよね」
「ええ、私も妹もユートガルト王のドーマハルト・クラディウス様の話を両親から聞くことに胸躍り心揺さぶられたものです。そのせいで私もすっかり古代史に興味を持ちだしたのでした」
資料をよく読んでいないことがまた露見した。そのドーマハルト王が晴明の父だとは気が付いていないのである。
「両親とともに稷兎遺跡に住み込んでいたのでした」
「ちょっと待ってください!今、きびつと言いましたよね。その遺跡は・・・・」
「ええ、前ユートガルト王朝の遺跡で私の祖父が一族の史料から見つけ出した遺物です」
「というとヘイ・オン・ワイは以前から知っていたということですか」
「創設時の頃の史料でしたので」
天ミニは腕を組んで何か考えているようであった。
「天ミニ殿今の話はそんなに重要なことでござるか?」




