◆マナーコ・レイク
街中を歩くおじさんたちが目指していたのは、外見からは想像もつかないような甘味処だった。
「フランシス殿、まだ着かないのでござるか」
「師匠、焦り過ぎですよ。ところでフランシスさんよ。そのあなたが言うぜんざいですがどのようなものですか」
「小豆を煮て砂糖で甘くした飲み物ですよ。餅や栗の甘露煮をトッピングできるんですけど私は付け合わせの塩ふき昆布が甘さを引き立てて最高ですけどね」
「ふーむやはりあのぜんざいのようだな。やはりあのカツカレー同様、ベールの領主が在学中に食べた学食のメニューなのか」
「おお、よくこのベールの歴史をご存知ですね。ところがこれはわが一族の秘伝のレシピが元になっているんですよ」
「なんでござる!ゴラン一族の秘伝ですと、詳しく話してもらえぬでござるか」
「なんでもクエンティン様の奥様が発見したとのことです」
日本が平安期の時代この異世界で諜報員として働いていた。コードネームQクエンティン・ゴランの妻とは当時の秘書兼分析官のミス・ぺティーのことだ。もちろん御堂や貴具たちは知りえもしれないことだが、貴具のカバンの中から天ミニが顔を出した。
「ほう、興味深い話ですね・聞かせてください」
「あっびっくりした。なんですかこれは・・・」
「これとは失礼な言い方ですね。私は宝蔵院天鼓のアバターの天ミニと言います」
「宝蔵院?・・・・あっ!晴明さんの天才児のお友達ですか、そうですペティおお奥様がマナーコ湖の遺跡から発見したレシピでした。クエンティンさまが大の甘いもの好きでそのレシピから作られたのが始まりです」
「ちょっと待ってください。マナーコに遺跡があるんですか」
「ええこれはヘイ・オン・ワイの幹部も知らない隠されたファイル51に記されています」
「それをなぜあなたが・・・」




