◆ドラゴニアの故郷
「どれどれ聖人様とやらを私にも拝ませてくれぬか」
アースラの後ろから低い声が聞こえた。アースラの休む玉座の後ろにさらに大きなドラゴノイドがいた。
「エヴァ母様、起きていられたのですか」
「うぬ、客人が見えていると聞いたものでな。それでお食事のもてなしは済んだのか」
「それには及びませぬ。われは死人ゆえ」
宝蔵院によって甦らされたバスクルにとっては魔力の供給があればそれで十分なのであった。微笑むエヴァ
「ヨモツ大迷宮から来たのであるか、懐かしいのわれら一族の故郷、すっかりその姿も変わったであろう」
「なんですってそんな話は聞いてませんが本当なのですかお母さま」
アースラもすっかり驚いてしまった。そこにちょうどサマラとヨシュアが戻ってきたのだった。
「エヴァ様、起きてられたのですか。これはご機嫌麗しい」
「ヨシュア挨拶はいい、話を聞きなさい。われらドラゴノイドの故郷、アガルタのことを」
少し体を動かしたエヴァであった。
「天ミニ、船の外で御堂と貴具が手を振っているぞ」
竜宮丸の中のモニターを見つめる永晴が言っていると天ミニはハッチを開けて二人を招き入れた。
「どうでした。動きはありましたか」
「店の様子に妙な所はなかった。本当にヘイ・オン・ワイが敵に通じているのか」
「通信を解析しているのですが暗号らしきものがあるのは間違いありません。もう少し情報を集めましょう」
天ミニによって異世界の情報機関、ヘイ・オン・ワイが敵に通じていると疑われていたのであった。そして変装した御堂と貴具によって張り込みがなされていたのだった。
「あっ!つけられましたね」天ミニが二人に言ったが
「ああ、わざとな。あいつはJの兄だ。捕まえて尋問してみるか」
「それは無駄でしょう。まだ何も証拠を握っていいないんですから、こちらに招待して情報を与えましょう」
「餌をやって様子を見るのでござるか。それもいい考えですな」
御堂はハッチに向かって行った。




