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■ハクトダルヌの怒り

「ゴジルさん、ここでは何ですので別の部屋でお話しをしましょう」

 宝蔵院は豆が柔らかくなるのを待っている晴明を連れてゴジルの執務官室へ向かうとそこには修羅猿(シュラサル)とハクトダルヌが座っていた。

「聞きました。封印の場所を吹っ飛ばしたらしいじゃないですか、あなた方は何を考えているんです」

 静かな表情ではあるが言葉尻はきつく少し怒っている様子のハクトダルヌであった。

「あれは緊急回避です。仕方なかったといっておきましょうか。アスタロトは自爆で強制的に封印を解除しようとしていたんですよ。しかも途方もない爆発規模で」

「どんな爆発であれあの封印が解けるわけはないのです。そのまま放っておけばよかったのです」

「しかしそれでは予想される爆発でこの地底世界の環境を破壊してしまうと思い、空間断の呪文を晴明に放ってもらたんです」

「空間断!それでは異次元に封印もろともアスタロトを送ったというのですか、なんてことを」

「どうして駄目なんですか。異次元に追放すればこちらの世界に手を出せないはずでしょ」

「目の行き届かない場所で無限の時間を与えてしまうということですよ、わかっているんですか」

「つまり復活のチャンスを与えたとそれは結果論です。こちらに封印していてもいつかはどうなるかわからないんですよ。優先すべきはこの世界だと思います」

 宝蔵院ははっきりと自分たちの正当性を主張していた。

「俺はこいつの意見に賛成だ。もしこいつらが言うような爆発が起こればアガルタの完全循環のシステムに支障をきたして滅びると俺は思うな」

 ハクトダルヌはしばらく考えていたが、横を見ると修羅猿(シュラサル)もゴジルに賛同しているようだ。

「分かりました。私はここに残り見守ることにしましょう」

 ハクトダルヌは修羅猿(シュラサル)を従え部屋を出て行った。

「行っちゃった。アーティファクトのことを教えてもらおうと思ったのに」

「あとで聞きましょう。私も何点か確認しておきたいことがあるりますから」

「これからどうするんだ。地上に戻るのか」

「晴海が意識を取り戻してからの話だよ」

「長引くようなら僕だけでも戻るかもしれませんよ。気になることがあるので早く戻りたいんです」

「分かったよ」

 晴明は宝蔵院が焦っているのにどうしようもない現状に歯痒さを感じていた。

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