■アスタロトのたくらみ
地上ではワイバーンの大軍が雲霞の如く空を埋めつくしていた。縦横無尽に飛び回り特攻覚悟に槍を突き立てオオガミらに襲いかかってきていた。
「総攻撃じゃないですか。これは大変ですね。水無瀬さんたちをダルトンさんの船に誘導してください」
「分かったよ。天鼓はどうするの」
「僕もヤーシャたちと応戦するよ」
宝蔵院は杖を振り地面に突き立てると数体のゴーレムを召還した。ゴーレムたちは晴明が誘導する久遠やバーバレラたちを援護する。三体の船の周りはゴジルとダルトンらが必死に船を守っていた。
「ダルトンさん、隙を見て彼らを乗せて離脱してください」
「分かった、マンマも巻き込まれないように早く逃げるよ」
「あたしは残って天坊を連れて行くからあんたは先に飛ばしな。晴明も早くかたをつけてここに戻ってきな」
「リボマンマ、ありがとう分かったよ」
晴明はオオガミたちの所に戻って行った。
「数が多すぎてなんともならん!晴明、呪文で吹き飛ばしてくれ!」
たまらず晴明に頼むオオガミの周りにはワイバーンの死体が無数に散らばっていた。
「晴明、僕の呪文に続いて竜巻を、地の聖霊よ。その心を荒ぶらせわれの助けとなれ!土槍!」
土中から石の槍が飛び出して行くと
ささがにのくもよきたれい
さうなしに
竜巻
晴明の呪文が槍を巻込みうねりをあげてワイバーンを吹き飛ばして石槍で粉々にすりつぶしていった。効率のいい敵の痛めつけ方に宝蔵院の怒りが込められていた。
ヤーシャはゴーレムの肩に乗りマシンガンをぶっ放している。
「封印の丘の守りが手薄だ。誰かそっち向かってくれ」
「俺が引き受けよう」修羅猿が向かって行く。耳の穴をほじくると如意金箍棒を取り出すと三面六臂の姿に戻り見事な棒捌きで如意金箍棒を操りワイバーンを砕いていった。
ワイバーンたちはかなりの数を撃破され上空を旋回始めた。ヤーシャの乗ったゴーレムがオオガミに近寄っていくと晴明、宝蔵院も集まってきた。
「オオガミ、おかしいぞ。アスタロトの姿がない」
「ああ俺も思っていたところだ。天鼓わかるかやつの作戦が」
「おかしいですね。不死身の力が失われているとはいえ今までは強引な戦い方を好んでいたはずなのに、何か隠し玉でも用意しているんじゃないですか」
「隠し玉?例えばどんな」
ポンと手を叩く晴明
「メダルだよ。あいつはまだ妖怪メダルを使った変身をしていない」
「ありですねその考え方、メダル探知ですよ晴明!」
大きく息を吸い込み目をつぶる晴明
「しまった!!地下の封印の地だ」
晴明は地下まで戻ろうと駆けだし宝蔵院が後を追った。




