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■ゴジルの思惑

 広い会議室の円卓には晴明たち10名分の席とお茶が用意されていた。席に着く前に久遠が晴明に耳打ちをする。お茶に何か入っていないかの確認だが、すでに晴明は使用人たちが運んでいる時点で鑑定を使い調べていた。

 ゴジルが真ん中にどっかりと椅子にふんぞり返って座っていた。その隣は右からリボソーム、ハクトダルヌ、修羅猿(シュラサル)、久遠、オオガミ、晴明、宝蔵院、ヤーシャ、バーバレラがくるりと並んでいた。

 部屋の様子を見るため各自あちらこちらを見ているが久遠一人がゴジルを見つめている。

「さて地上界からいらした皆さん、先ほどリボソームからあなたたちのことを聞かせてもらいました。封印の丘へ向かいたいとのことですが、ただいま警戒状態に入っており許可はできません。しばらくこちらの滞在していただければと思います」

 オオガミはが立ち上がり

「それは困るな。いつ教団に大事なものが持ち去られるかもしれんのに、何とかその禁を解いて欲しい」

 久遠も「まずは私たちを突然襲ったことに関して何か一言あってもいいんじゃないですか」

「そのことはすまなかったと謝ったではないか、先ほども言ったように警戒体制下だと、度量の狭い男だな君は」

 ムッとする久遠を押さえてオオガミは

「あなた方は教団の動きをどこまで掴んでいるんだ。まったくつかめていないからこそ俺たちの仲間を敵と勘違いしたってことだろ」オオガミの言った一言はゴジルの機嫌を損ねたようだ。

 しばらく沈黙が続いたがハクトダルヌが口を開いた。

「ゴジルよ。この方々に協力を惜しむでない。すべてを託しなさい」

「あんた、どういうご身分だが知らぬがグシュナサフのことは俺がすべて仕切らせてもらう」

 バンと机をたたく修羅猿(シュラサル)

「そんな口をきいていいのかもの言う石(ピエトラパラーラ)守護者(ガーディアン)失格だな」

 ゴジルは立ち上がり

「何を言うか、聖櫃のお飾りにすぎぬ猿が何をを言う!」

 すくりとハクトダルヌが立ち上がるとゴジルを指さすとその指がまっすぐ伸びてゴジルの額に突き刺さったように見えた。

 ゴジルは後ろに下がり始め土下座をした。

「申し訳ありませぬ。ハクトダルヌ様」

 すべてを理解した様であった。

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