■久遠の疑惑
修羅猿は空を見上げた。宝蔵院たちを乗せた船が見えてきた。
「リボソームが追いついて来たね。ところでこのグシュナサフの執政官は何処にいるんだろう。先に挨拶をしておいた方がいいですよね」久遠は次の行動を考えていた。まずはリボソームと共にこの街の執政官と一緒に封印の丘への立ち入りの許可を得なければいけないと考えていた。
スピードを落としポートへランデブー態勢に入るリボソームの船、見事な操縦桿捌きで指定位置にピタリと止まっるとオオガミを先頭に皆が降りて来た。最後に下りてきたリボソームは驚いた顔でこちらに歩み寄ってきた。
「驚いたね、さっそくゴジルを呼んでくるとは晴坊は段取りがいいね」
「?リボマンマどういうこと」
晴明はあっけにとられていた。何を褒められたのかわからない。
「グシュナサフの執政官を呼んで来てくれたことだよ」
またゴジルにしてやられてしまった。まさか彼がこの街の執政官であったとは
「まったく修羅さんもそうだけどどうもこの国の人たちは一筋縄ではいかない人たちばかりだな。こちら側のメンバーを紹介して置きますね」
久遠は飛行船できた仲間たちを紹介してき最後にあえてもの言う石そのもであるハクトダルヌの正体を隠してゴジルに逢わせた。
「わかった、私はシャア・ゴジル、この街の執政官だ。ここでは何だ、落ち着かないな屋敷で君たちのことは詳しく聞かせてもらおう」とすぐ近くの大きな屋敷に向かって行った。
久遠は複雑な表情をしていた。果たしてゴジルという人物が信用に値するのかを決めかねていたのだった。屋敷の中の会議室で会談の運びとなったが、晴明たちは部屋の前で待たされているとゴジルの使用人たちが忙しく接客の準備をしていた。
その使用人の一人を久遠は呼び留めて
「ちょっと喉が渇いたので水を一杯持って来てくれないか。あっところでゴジルさんは長いこと執政官を務めているらしいじゃないか。君も信頼して仕えているんだろ」
そう聞かれた使用人は
「さあ私は最近ここで働きだしたもので詳しいことはわかりませんが百年前から父親の跡を継いで執政官をしているのですがそれが何か、あっすぐにお水をお持ちします」
使用人は足早に奥へと戻って行った。
「久遠さん、何かゴジルさんに不審な点があるとおもっているんですか」
「ああ天鼓君、何か気になるんだよな。修羅さんもそうだが何か気になるだよな」
「刑事の勘ってやつですか。人の勘ってやつは瞬時のディープラーニングですからね。あながち簡単に否定するべきではなさそうですから、僕も調べてみましょう」
宝蔵院は久遠の勘を検証することとなっていた。
「さあ、皆さま方お待たせしました。ご用意が整いましたのでさあお入りください」
侍従長らしき年老いた使用人が晴明たちを招き入れた。




