■河童部隊
「久遠さん大丈夫かな」加速を解くと殺気を放っていた主を探す晴明は後方の久遠を心配していた。修羅猿には簡単に気配を察したように見栄を張って言っては見たが、はっきりと感じとれたのは久遠が迎え撃ちにでた背後の敵だけであった。かすかに感じる前方の敵は巧みに姿を隠しているようであった。その所業故に手ごわい相手だと見て取れる。剣は構えずに柄を軽く握り静かに呼吸を整えて気配を探る。眉がひくりと動くと何もない壁に向かってダッシュをして剣を振るう晴明、金属がぶつかり合い火花が散った、晴明の一太刀を止める大きな刃、見えない敵が姿を現す。
太い腕で大きな刀を掴んでいるのは河童である。ただ久遠が対している河童とは一味違っていた。サイズが桁違いに異なっていたのだ。
「うわ、でっかい河童だな」
河童の身の丈は優に四メートル以上はあるに違いない。交えた刃をそのまま押し込んできた。力で押されるとたまったものではない。後方に飛び退き態勢を整えた。その晴明に雨の如く矢が降り注ぐ十数体の河童の弓矢隊が控えていた。
「しまったなこれはここへ誘き寄せられたってことかな」巧に刀で弓矢を払いのけ片手に刀を持ち換えると「標的」片手で印を結ぶと弓矢隊の河童たちの額に魔法陣が浮かぶ。「水球弾」小さな水滴が高速で眉間に連続でうち当てた。
弓矢の心配を取り除くと大河童の姿を追う。
「あっ!?また姿を隠したか」
と思いきや大河童は晴明の背後に突然姿を現していきなり蹴りを放ってきたが晴明はジャンプをして背後に回り込んだ。するとまた別の建物の上にいる河童が弓を射ってきた。加速で素早くよけながら大河童に火球を打ち込むが皮膚を滑るように弾かれていく。
「なんだか術がコーティングされているようにすべり弾かれるな」
術をあきらめ晴明は霞の構えをとり剣での勝負を選んだ。鞍馬一刀神流の奥義の一つ、無想閃光斬を間合いから放とうとした。
「そこまでだ!」
両者の間に修羅猿が割って入った。




