■グシュナサフの街中
晴明と修羅猿、二人は高く投げ上げた小石を見つめていた。その小石がことりと地面に落ちると、ピコーナと觔斗雲が猛ダッシュした。衝撃波が鳴り辺りが揺れ動く。小石はころころと転がり続けた。
「天鼓坊や!すごいよ。壊れる前と比べて段違いにレスポンスがいいね。サイコーだよ」
リボソームは宝蔵院の修理に大変感心していた。壊される前よりも断然調子がいいことに満足していた。
「喜んでもらえてうれしいです。何か感じたことがあれば修正しますから遠慮なく言ってくださいね」
「あらまあ、いい子だね。グシュナサフに着いたら飛び切り美味しいご飯作ってあげるからね」
といった具合に何事もなくリボソームの船は巡航していた。
かたや晴明たちは壮絶なデッドヒートを繰り広げてグシュナサフに到着していた。
「久太郎、どうだ觔斗雲は早いだろう」満面の笑みで勝利を誇っていた。
「ずるいよ。修羅猿さん、体当たりで吹き飛ばすなんて」
「はっはっは!これも勝負さ、僕ちゃんは甘っちょろすぎるぜ。このくらいで挑まないといつか勝負で痛い目にあうぞ。朝からなにも食ってないから腹が減ったな。罰ゲームにどこか旨そうな店を探してもらおうか」
これは罰ゲームにはならない、どっちが甘いのかと晴明は思っていたがこちらもお腹がペコペコだ。グシュナサフの街を二人はぶらつき始めた。
「坊や、朝飯前の肩慣らしでもするか」
「坊やはやめてよ。晴明と言ってほしいな。で、どっちを選ぶのかな」
久遠のスーツがそこでやっとアラートを発し始めた。
「二人ともすぐに気が付いていたんだね」
「僕は待ち伏せている奴を迎え撃つよ」
「後ろからつけてくるやつは久太郎、任せたぞ」
「ええっ僕がですか、手伝ってくださいよ」
修羅猿は笑って
「手に余るようだったら助太刀してやるから思い切っていってこい」
「オオガミさんと同じでスパルタだな」
と言うとふりむき伸縮式の警棒を取り出した。晴明は加速をかけると。姿を消した。
「さてさてお手並み拝見」
建物の上に飛びあがる修羅猿、正体不明の襲撃者が迫り来るのだった。




