■タウロ地底世界へ
地底世界アガルタで一番困ることは突然の夜である。突然の闇であわただしく寝床の準備が始まった。晴明たちの中で腕時計を巻いているのは久遠とヤーシャだけであった。ヨモツの周期が正確であることだけは助かっていた。アガルタの住人たちはなぜか正確にその周期がわかるようであった。宝蔵院曰く、生活習慣が体内のバイオリズムに適合したのだろうと。晴明たちは急いで明かりを灯して夕餉の準備を始めた。
「晴明君、久しぶりにあの料理人を呼んでもらえないだろうか。恥ずかしい話、和食が恋しくなって食べたくなったんだ」
「久遠さんもそう思っているんですね。僕もお米が食べたいなとかちょっと思っていたんです。久しぶりにタウロ呼んじゃいます。ノウマク サンマンダ ボダナン バク!ダッシュスリー、タウロの化身」
メダルをオーディンの馬に挿入した。
「呼ばれて飛び出てうほっうぼっ!おりょ?なんだか知らない人が増えているだすな。おらはタウロ、ハルアキ坊ちゃまの専属料理人だ。よろしくだす」
「なんだい、ご陽気な牛男だね。料理人ってか、あたいもコックさ、リボソームさ、あんた腕がよさそうだね感じるよ」
「私はバーバレラよ。バービィって呼んでね」
「よろしくだす。でそちらのご婦人は」
黙ってタウロを観察していたのだろうか
「私はハクトダルヌ、料理は食わなくて大丈夫だ」
「なんだ。導魔法師様と同じだすか。まあそれはかまわないだすが坊ちゃま何か食べたい物がありそうな顔をしてるだすな」
相変わらず晴明のことをよくわかっている。膝に手を当ててかがみこみリクエストにこたえる準備の顔だ。
「おい、俺に気が付いてないのか。修羅猿だ。美味いものには目がないぞ」
ハクトダルヌの後ろに突っ立ていたせいかタウロも気が付いていなかった。
「おっとそれはすまないことしただす。三つも顔があるだが三人前作らないとだめだすか」
「そうか、確かにこれでは食いにくいな」
修羅猿は闘、者と印を結ぶと三つの顔をが中央に重なり一つに六本の腕は二本へと統語された。
「ほっへ~便利な体だすな。でもどこかであったことのあるようなお人だすな。で献立はなんだす坊ちゃま」
「タウロと相談して考えようと思っているんだ。とりあえず収納ボックスに入っている素材のリストを見てよ。和風な口なんだ」
収納に手を突っ込むと宝蔵院が作ってくれたシステム、オート収納リストから鮮魚と打ち込んで検索すると名前と分量がプリントアウトされた。
「ほうえらく便利なことができるようになった出すなどれどれ」
タウロはリストを読み始めた。
「天鼓が作ってくれたんだよ。中に入れていると時間がフリーズされていて腐らないんだけど逆にどんどんたまってしまうから、どうしたらいいか相談したら、こんなシステム作ってくれたんだ」
「坊ちゃまは和食がご希望だすな。それでは海鮮ちらしでも作るだすか」
そういうと晴明に材料を伝え始めた。晴明はそれらを準備すると
「この周りに念のため結界を張ってくるから、カグヤ、手伝ってくれる」
「ああ構わない行くか」
二人は結界を張るために少しビバーク地から離れていった。




