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●ユート凱旋

 誰一人犠牲者が出すこともなく完璧な勝利であった。

 ミノの後始末と復興はドメル領主カイン・ガートベルトに頼んだ。

 イソルダ、アルジェ、アオナ、キグナス、モモそして旅団の全員でユートヘ凱旋した。オオガミらとユートガルト軍一万騎が門前で出迎えてくれた。六年ぶりの帰郷だ。そしてクラディウス邸に戻った。

 一人執務室で感慨にふけっているとノックの音、オオガミが入ってきた。

「ハルトやったな。大勝利だ」抱き着いて来た。

「ああ、オオガミも聞いたぞ鬼神の如き活躍だったらしいな。おまえがいなければこの作戦は成り立たなかったからな」

「ツチグマとの戦いは面白かったぞ。また相まみえたいものだ」

「ははっは、お前らしいな。しかしタマモの仇は取り逃がしてしまった。あのカルヤシャという女はいったいなんだ。オオガミの不死身とはまた違った不気味な強靭さを持っている。どうやったら倒せるんだ」

「うむ、それは肉体が実体ではないのかもしれないな。血液そのものが生きているんじゃないか」

「確かにそんな感じだったな」

「それより街の公園で勝利の宴席が開かれたぞ。アーカムスが仕切っている」


 兵士のほか街の住人達も集い、公園はごった返していた。住人たちは解放された喜びを呑んで歌ってはしゃいでいた。


「ハルト、すごいなまさか二か所同時にシーモフサルト軍を打ち倒すとは、たいした策士だね」

 人垣をかき分けて、親友のミシェルがやってきた。

「ミッチー、ありがとう、まさか同船してくるとは思わなかったよ。港を警護して援軍を送られてはと念のため配備したのだが杞憂に終わって無駄足を折らせたな」

「いや、この勝利を一緒に祝えて最高だよ」固く握手をした。

「奴らは船からこぼれるほど兵士を積んで帰っていったよ。港に着くなり泳いで乗船してきて、報告をしたアーカムスという兵士にもびっくりさせられたがハルトの近衛旅団がいれば向かうところ敵なしだな」

「そうだいい兵士が集まった。俺も満足だよ。中隊長たちを紹介しよう」

 アーカムスたちがいるところへ足を運んだ。

「ドーマハルト閣下、キグナスから聞きました。すごい魔法だったらしいですね。兵士たちも口々に興奮して聞かせてくれました。作戦をお伺いしたとき本当にそんなことができるのかと疑心暗鬼でした。申し訳ありません」

 アーカムスも興奮しているようだった。

「ほかの中隊長たちも呼んでくれ、俺の大親友ベールの領主を紹介したい」

「これはミシェル様、船上では失礼いたしました。ご挨拶も簡単にしましたことを」

「いや、いいんだ。戦時下だった故しかたない。それより噂の猛者たちを紹介してくれ」

「はい呼んでまいります」

 中隊長レンジャーたちが集結した。アーカムスがおのおのを紹介した。すると

「アオナ、君もハルトの兵士になったのか、驚いた」

 エルフの里からの知り合いだった。

「はいミシェル様、ハルナは元気にしておりますか、結婚式には出席できずに相済みませんでした」

 アオナが答えた。

「驚くだろうなハルトの側近部隊に所属してるなんて聞いたら、何か伝えることがあったら聞いておくよ」

「私にもいい人ができたとお伝えください」

「そうかそれはよかった。また機会があったら紹介してくれ」

 アーカムスが咳き込みながら背中を向けた。男は嘘が下手だ。

「戦争が終わったら一緒にベールにお邪魔しますね」

 肘でアーカムスをついた。しかし、こういうことには鈍感なミシェルは気が付いていないようだ。

「ミシェル様、ユートガルト学園の六期下のキグナスです。ドーマハルト閣下とともに在学中からあこがれておりました。またお会いできて光栄です」

「こいつは俺とミッチーで作り上げた学食メニューのファンなんだぜ、どのメニューが気にいっていたんだ」

「はい全部ですが特にカツカレーが大好きでした」

「あれか、ベールのスパイスでハルトがカレーという食べ物を発明したやつだな。コートレットを載せるとさらに美味しいとアドバイスくれたやつか、ベールでも食べれるぞ。私の故郷に来れば同じものがいくらでも食べれるぞ」

「ぜひ伺わせていただきます」

 目を輝かせていた。

「ところでミッチー、そっちへ避難した王妃とその子たちは問題起こしていないか」

「それなんだが、ベールに向かう途中護衛もろとも殺された。犯人は不明だ」

 やはりなスミエルの手で亡き者されたか。

「それは可哀そうなことをした」

 少しも興味のない死ではあるが、祖父のやり方には胸糞の悪いものを感じていた。

「ミッチー、はいワイン」

「タマモちゃんも従軍していたのか。ハルト大丈夫か」

「いや、手元に置いておいた方が安心なんでな。それにモモに鍛えてもらっているんだ」

「モモ、タマモが発火能力を使っていたがもう教えてくれていたのか」

「いえ、きっと怒りがきっかけでカルヤシャを燃やしたのでしょう」

「そうなのあれから何度やっても煙も出ないのよ」

 指を何度もパチリと鳴らすしぐさをするが何も起こらない。


「ハルト、ユートガルトの脅威は排除できたがこれからどうするんだ」

「ミッチー、ミノを起点にエンドワースにいるシーモフサルトの軍を打ち倒して隣国と共同でマサカドを倒すだけだ。まだ戦いは始まったばかりだ」


 エンドワースへと闘いへと物語は続いていくのであった。

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