■敵の忘れ物
リボソームは今度はすぐに起き上がり、船の修繕に参加していた。さすがにいつも整備を自ら行っているだけあって作業はどんどん進んでいった。
「作業は順調みたいですね。ここからは私も手伝います」
天ミニをパソコンに戻しながら宝蔵院がやって来た。
「もう回復したの天鼓、もっと休んでていいんだよ。久遠さんが結構うまく作業してくれているから」
「そうだよ無理しないでお昼ご飯食べてないだろ」
「まだ残っているから温めてやるよ」
宝蔵院はリボソームに首根っこを掴まれて焚き火のところまで運ばれた。鍋を火にかけるとかきませながらパンを投げよこした。
「あんた、小さいなりしてるがすごいね。私の船のことをよく理解してくれてるじゃないか。超一流のメカニックだよ。望遠鏡つけたときはごめんよ思ったより役に立つんでこれから活用させてもらうよ」
「リボマンマのあの船に対しての思いも素晴らしいですよ。小さな部品まで丁寧に磨かれていて愛情を感じてやまないです」
「あらいうねこの子は、気に入ったよ」
どうやら宝蔵院はリボソームから好かれたようであった。満面の笑みで器にゴロゴロの野菜のたっぷり入ったスープを山盛り注いだマンマであった。
宝蔵院の食事が終わると大修理もラストスパートにかかった。次々とパーツを機体にセッティングしていく。ついに最後の作業、機体のペンキ塗りの作業となった。刷毛を握りながら晴明は
「これで完成だね。どうせ天鼓のことだから新しい機能をつけちゃったりしてるんじゃない」
「ふっふっそれはお楽しみですよ」
謎の笑いを浮かべる宝蔵院であった。急に晴明の顔色が変わった。真正面にいる宝蔵院もその気色ばむ表情の変化に気が付いた。
「何かあるの?」
「こちらに何か向かってくるみたいなんだ」
カグヤ、久遠にも緊張が走ったが
「修羅猿が帰ってきただけだ」ハクトダルヌが皆を安心させると、觔斗雲に乗ってこちらに向かってきた。
「うわ!すごい、見てよ!觔斗雲だ」
「ほう、興味深いですね」
ハクトダルヌの前に着陸した。
「ねえねえ、僕にも乗れるかな」晴明が食いつくがカグヤは
「オオガミとヤーシャはどうしたんだ」
言われて晴明も気が付く
「ほんとだ。まだこっちに二人とも戻っていないよ」
「そうか途中で別れて敵の痕跡を追っていたんだがこんなものを見つけたなんなんだろう」
修羅猿は錫杖をみんなに見せた。
「これは晴海の・・・・」それ以上言葉の出ない晴明と久遠であった。




