■錬金による修理
宝蔵院はこの地下世界に踏み入れ授かったギフト、<錬金>スキルを駆使して破壊されたリボソームの船の修理部品と工具を一気に作り上げると倒れてしまった。慌ててしまったのは晴明だ。
「天鼓!」抱き上げ様子をスキャンすると魔法力がマイナス数値を示していた。
「天鼓君は大丈夫」
「久遠さん、魔法力を使い果たして疲れちゃったみたいです。このまま休憩させましょう」
カグヤがお茶を入れて持ってきた。
「ありがとう、これはほうじ茶だね。ちょうど何か欲しかったとこなんだ。リボソームはどう」
「少し頭を打ったみたいでまだ眠っているわ。じきに目を覚ますでしょ」
「お茶を飲んでいる暇はないですよ。作業をしますよ晴明に久遠さん」
晴明と久遠は驚いた。疲れて眠っているはずの宝蔵院の声がしたのであった。作業現場を振り向いてみると天ミニが起動していた。天ミニの声であった。あらかじめこの事態を想定して作業の効率を考えて起動しておいたのであった。
「さすが天鼓君だな。抜け目がないな。はいはい、では何を手伝いましょうか天ミニ様」
お茶を一気に飲み干すと二人とカグヤまで加わり飛行船の修理が始まった。
「これと行って調べるところもなさそうだ。ヤーシャ、そろそろ俺たちも飛行船に戻ろう」
「何か獲物を狩って帰るか」
ヤーシャは今日は活躍の場がなく手持無沙汰なのだろう。猟でうっぷんでも晴らすつもりだけなのだろうとオオガミは思っていた。
「俺たちは修理に関係ない退屈だしな。やるか」
飛行船に戻る道程をゆくっりと歩み出した。
「これでコックピット周りの修理は完了だ。次は天ミニどこ」
「これからが重要なパーツです。エンジンのチューンナップにかかりますよ」
修理は順調に進んでいるようだ。晴明も久遠もオイルまみれであった。そんな二人に何かいい匂いがしてきた。
「お腹が減ったね晴明君」
「天ミニ昼休みにしていい」
「仕方ないですね。まあ計画通り進んでいますから思いっきり食べて午後からの作業もお願いしますよ」
カグヤが用意したのはリボソームの作ったスープであった。朝も食べたのだが作り過ぎていたのでお昼用に船に積み込んでいたものであった。爆発から逃れ無事に残っていたものであった。
その匂いに反応したのが作った当人のリボソームであった。むっくりと起き上がると
「何がどうしたんだい!私のスープを勝手に飲んでいるのは誰だ」
周りを見渡し自分の船を見るとボロボロになっている。そこでまた気絶してしまった。




