■謎の襲撃
晴明は真っ黒なワイバーンを指さして、
「どうだ!アスタロト、降参して晴海をすぐに返せ」
アスタロトは何も反応せず大きく息を吸い込み火炎弾を吐き出して晴明を狙った。素早くよける晴明
「そんな攻撃は当たるもんか、今度は僕のターンだ」
天叢雲剣を抜き出すとピコーナと共にまっすぐにアスタロトに突っ込んでいった。アスタロトも素早くよけようとするのだがあまりの勢いに態勢を崩してしまい、致命的な隙を見せた、それを見たピコーナはアスタロトを思いっきり蹴り落す。たまらないのはアスタロトだ、そのままキリキリと落下していった。
地面にたたきるけられる寸前、受け身を取ってくるりと反転して勢いを落とすが地面に勢いよく打ち付けられた。左腕は折れて変な方向へ曲がってしまっていた。ワイバーンの姿からドラゴノイドに戻ると槍を取り出して晴明を迎え撃つ準備をするがよろけ立っていられない。
晴明はピコーナから飛び降りると落下中から水球を打ちまくり威嚇する。ところがこの攻撃でアスタロトは穴だらけになって瀕死の状態になってしまった。あまりのあっけなさに罠を疑う晴明だが、飛行船のモニターで様子を見ていた宝蔵院は
「リボソーム、あそこに下りてもらえますか」
「天鼓君大丈夫か、罠かもしれないよ」
「久遠さん、それはないと思います。この地底世界ではどうやらオオガミ氏同様に奴らも弱体化しているんです」
リボソームの飛行船は晴明のそばに着陸した。オオガミらが駆け寄ってきてアスタロトを見つめた。
真っ先にアスタロトに久遠が向かうとどういうことか治療を行い始めた。
その御心で苦しむものを救いたまへ
沐浴、沐浴、沐浴
久遠の術でしゃべれる程度に回復していくアスタロト
「何バカなことやっているだ久遠!」オオガミは叱責するが
「さあ、晴海様の行方を言え」
さらに沐浴を施す久遠を押しのけカグヤがアスタロトを睨む。その右腕にはいつの間にか飛行船にあった斧を携えていた。そしてその斧でアスタロトの首をアッと言う間もなく切り落とした。
「なんてことをするんだカグヤ!晴海の情報が聞き出せなかったじゃないか」
久遠が怒っていると一匹のワイバーンがアスタロトの首を掴んで飛び去って行った。
「あああっ」
ミサイルを搭載していなかったワイバーンであろう、いつの間にか近くに潜んでいたのだろう。
晴明は驚いてしまった。カグヤの行動もそうだがアスタロトの首を持ち去られたことにだ。
「やられましたね。カグヤさん茶番劇だとわかっていたんですよね」
「天鼓君どういうことだよ」久遠は首を落とされたアスタロトの死体を調べる手を止め尋ねた。
「奴も自分の力が万全ではないということを知っていたはずです。時間稼ぎですよ。おそらく封印の丘でまだ何かを行っているんです。自らを囮にしたのは夜間には再生を狙ってでしょう」
「それは本当か天鼓、みんな急いで飛行船に乗るんだ」オオガミが飛行船を見ると爆発が起こった。




