■秘密のメダル
入念に屈伸運動をするヤーシャ
「そろそろ行くか、天もいけるな」
「しっかり休憩できました。もの言う石のところへ向かいましょう」
宝蔵院は立ち上がるとズボンのほこりを手でパンパンと払って、バーバレラに先頭を命じて晴明たちと進んでいった。途中天井からムコドの根が何本か垂れ下がっていたが今度は警戒をしていたので被害には至らなかった。
「この神殿の様式カグヤの祠と同じだね」
「そうですね。同時代の建築でしょう。カグヤさん、そうでしょ」
「この神殿の方が古いかもしれませんね。年代測定すればわかるはずです。私の祠は劣化したコピーだと思いますよ」
「劣化したコピー?どういうことでしょう」
「この神殿の作られた時代にあこがれた巧み達によるものと思います。私が眠りに就いた時代はそう言ったものが人気があったんです」
「わかるよこの神殿の様子を見れば、僕でもあこがれちゃうよ」
晴明はこの神殿に立ち入ってから熱心にその建築美を堪能していたのであった。
「この扉の向こうでーす」バーバレラは扉を静かに開けた。
久遠のアーマスーツが小さく警戒音を鳴らしている。扉を開けることによって何かが作動を始めたのだ。オオガミは皆の侵入を制している。薄暗い部屋が徐々に明かりが灯っていくと奥には50センチほどの特に装飾もない立方体が安置されていたが、その両脇に大猿の阿吽の像がこちらを睨み立っていた。
「あの像がオーディンの馬に大猿の魂が込められたガーディアンだね。どうして動かないんだろう」
「晴明、まだ部屋に入ってないからだ。威嚇しながらアイドリング状態を保っているからまだ入っちゃ駄目だ」
バーバレラが目を閉じて上を向きながら何かを思い出そうと必死の形相だ。
「天鼓、バビィーが何か思い出そうとしてるよ。まだ待った方がいいよね」
「いや、探ってみましょう。ヤーシャにオオガミさん突いてみましょう」
オオガミとヤーシャがへに入っていくと大猿は素早くゆく手を阻むように通せん坊をした。
「攻撃してこないみたいだ。どうする天鼓」
伺いを立てるオオガミに
「二人ともこっちへ戻ってください」
と部屋を出るように指示を与えると大猿の二体は元の位置に戻るがこちらを睨んだままだ。
「戦うとオーディンの馬を壊してしまうかもしれないし、どうしたら大人しくあの箱を渡してくれるんだろう」
部屋の中をじっと見ていたバーバレラが大きな声を上げ部屋の奥を指さした。
「あのメダルをこっちへ持って来て」
箱の上に置かれているメダル、晴明は加速を使って大猿の妨害をすり抜けてメダルをゲットしてバーバレラに渡す。
「これで説得できるかも」メダルを握り締めるのだった。




