■ムコドの大木
「安心してくださ~い、そこの回廊は数少ないセーフティエリアで休憩場所みたいです」
「じゃあ罠はないんだな、ヤーシャ行くぞ」
オオガミとヤーシャは宝蔵院が眠る場所まで向かい始めた。
晴明はピコーナでバーバレラと共にアッカド古代神殿にたどり着くとゴールドメダルは何かあった時に自分で使用するためにピコーナをメダルに戻した。
「うあ、あの木は何なのバービィ」
神殿の建物には大きな木が融合するように絡まっていった。人工物と有機体の見事な芸術作品のようであった。
「あれはムコドの大木ね、食人木が生まれる実をつけるのよ、今は大丈夫見たいね」
食人木はヨモツ大迷宮の第二階層で晴明たちが戦った植物の魔物だ。
「でもこんな立派な神殿、ずっと手つかずで置かれたみたいだけどどうしてなの」
「禁則の地として誰も立ち入ることを禁じられてきたから、最初のころはきれいに掃除されていたんだけど、次第に忘れられてあんな木に寄生されちまったんだね」
「バービィ、さあ入って行こうか、どうすればこの大きな扉は開くの」
バーバレラは右の扉のタイルを何カ所か動かした。
「あ!大変だわ、すっかり忘れていたわ。右の扉だけじゃなくて左もこうやって動かさないと」
左のタイルも動かし始めた。
「どういうことなの、何を忘れてたの」
「罠の解除コードがあったのよ、天鼓様に伝えるのをすっかり忘れていたわ」
バーバレラはハクトダルヌをこの神殿に安置した際、一番奥のコントロールパネルを操作して解除コードを左の扉に施したことを忘れていたのであった。
久遠は罠がリセットされたことに気が付いた。目の前の陥没した床が突然せりあがってきたのであった。
「なんだか突然罠が解除されたみたいだねカグヤ」
「これは私にもわかる、晴明が来たんだ」
安心した二人はオオガミとヤーシャのもとへと走っていった。
「天鼓君はどんな具合ですか」
久遠はオオガミに尋ねたとたん、着ていたパワードスースが変形して口と鼻をガードし始めた。
「皆さん、何か危険が近づいています、警戒を」
しかし一足遅かった。オオガミ、ヤーシャ、カグヤがふらふらとしたと思えば倒れてしまった。久遠の眼鏡には三人のバイタル状態が表示された。
「眠っているだけみたいだ。どうしてどこから?ガスでも流れてきたのかな」
あたりを見回すと天井から木の根っこのようなものがゆっくり伸びてきている。
「久遠さん!みんなはどうしたの」
「止まって!こっちへ来ないでそこに待機して上から伸びる根っこを調べてくれないか」
久遠は近寄ろうとする晴明を手で制した。




