■ホルミスダスの執政官
「ねえバーバレラ、ついてきて大丈夫なのラルヴァンダードに用事はないの」
ピコーナの背には晴明とバーバレラが乗っていた。
「あなたが戻ってきたら案内しなさいと天鼓様に言い付かっていたからこれでいいのよ。ねえ晴明、バービィって呼んでよ。これからよろしくね」
晴明が自分たちと合流することができなくてラルヴァンダードのバーバレラを頼ることを宝蔵院はこんな先まで見通していたのだ。どうしてここまで先読みできるのだろうと感心した晴明
「よろしくね。バービィ」
本当につやつやの肌は人形を思い起こさせた。
「天鼓がいないって!」
「どうやら一人でアッカド古代神殿に向かったみたいだ。私も気が付かなかったが早く追った方がいいだろう」
カグヤは言うが、あまり慌てていないオオガミは宝蔵院の勝手な行動はある程度覚悟していたようであった。いろいろなことを想定することが得意な宝蔵院であるが自分自身の好奇心は想定外の行いであった。 しかし問題が一つあった。オオガミは
「ところでバーバレラが説明したことを覚えているやつはいるのか」
古代遺跡には数多くの罠が仕掛けているのであった。その仕掛けを彼女がレクチャーしたのだが宝蔵院が聞いていれば問題ないだろうと各自が思っていたのであった。できる人物がいるときによく陥りやすい出来事であった。あいつが聞いているからいいだろうはあまりあてにはならない。
「カグヤ仕方ない。我々はとりあえず晴明が来るのを待とう」
「待ってください。オオガミ司令官、僕がメモしています」
捜査の時は必ずメモを取っていた久遠がそう言った。
「それなら先を急ごう。天鼓が一人だと心配だ、何かのトラブルに巻き込まれているかもしれない。いやな予感がするんだ」
オオガミの勘はこういうときに特に冴えている。何かが起ころうとしているのだ。
「でも晴明君の案内はどうすれば」
「あいつは大丈夫だ。どうにか追ってくるはずだ」
またしても勘がそう言っているようであった。
「ダルトン執政官に言伝と手紙を託しておいた方がいいですよ」
これまた久遠のナイスアシストである。
「さあ行くぞ」
ホルミスダスの街からアッカド古代神殿までは数キロの道のりだ。オオガミたちは徒歩で向かって行った。
「すっかり遅くなちゃったな。お腹も減ったけど早く追いかけないと」
晴明とバーバレラは昼過ぎにホルミスダスに到着したのだった。
「晴明、とりあえずダルトンを探そう」
「そうだねバービィ、でもどこにいるんだろう」
「この街の執政官のところだよ」
「よくわかるね。バービィ」
「ダルトンの母親がここの執政官よ」




