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◆不思議なチーム

 飛行船の中にはなんと白鳥や水無瀬夫婦と御堂、貴具とともにいたのだ。

「晴海のお父さんとお母さん!どうしてここにいるんですか、先にヨモツ大迷宮に行っていたんじゃないんですか」

 たしかにその情報をヨシュアとサマラはベールに向かう列車の中でそう聞いていた。

「晴海を追って確かにヨモツ大迷宮には潜りベルゼブブの封印されている丘に行ったさ」

「それがどうしてここにいるの」

「いなかったのさ晴海がそして封じられた魂も消え失せていた。それでとんぼ返りして神殿にいる軽足たちと合流したのさ」

 御堂と貴具もその話しに加わった。

「俺の兄からの情報だ。奴らの飛行船がベールの方へ消えていったそうだ」

 貴具の兄はここガルトで一人で諜報活動を行っている。

「ヘイ・オン・ワイの情報とも一致する。奴らはまたしてもツーロン島に戻っているようなんだ」

 晴明と共に竜宮丸で島に行ったサマラは「一度私たちが乗り込んでもう少しで晴海を奪還できるところだった島ね」

 百花は「晴明の活躍でもう一息だったが、あと一歩、あと一歩で晴海を助け出せたのに・・・あのアスタロトに連れ去らわれてしまい悔しい思いをしたけどやつらは戻っている。ベルゼブブの魂と共にそれに晴海もいるはず」

 永清はヨシュアとサマラに「お願いだあの竜宮丸で俺たちを島へ運んでくれ、ドーマハルト号では奴らに見つかってしまう」

 軽足は「島に向こうことは舎利弗本部長にはもう伝えてあるがドーマハルト号はここガルトにわしと白鳥で待機だ。ここで会えたのも何かの思し召しだろう。お嬢ちゃんたちの列車で水無瀬夫婦と御堂たちをベールまで運んでやってくれんか」

「条件があるわ。私とヨシュアもツーロン島に同行すること」

「それは全く問題ないよ。むしろありがたいさ、そうと決まれば列車を出してもらおうか」

「勝手な約束はだめですよ。サマラ、私が許しません」

「私は女王、ジャスミン、あなたもついてくればいいじゃない、それで決まり」

 有無を言わせずサマラの独断で事は決まった。

 晴海の両親とヨシュアとサマラとジャスミン、御堂、貴具新しい七人のチームの結成だ。


 サマラは宴に戻ろうともせずに飛行船のバーカウンターにどっかりと居座っていた。ヨシュアはドラムを練習しだした。正確なリズムは今までもそうであったが、今は力強さが加わり厚いビートを刻んでいるのは晴海の両親も舌を巻くほどであった。

 御堂はヨシュアの変化に気が付いた。かつて旅をしていた頃は何かにつけびくびくと弱気な姿であったのが、ところがどうだ、自信に満ち溢れ心なしか少し大きく見えていた。貴具や軽足もそのように感じているようだった。

「サマラ、ちょっと聞きたいんだがヨシュアはどうしちゃったんだ」

「軽足団長、どうって何が?」

 サマラにとってヨシュアはこれが普通のようだ。軽足たちは久しぶりに会うものだから変化に気が付くがずっと一緒にいるサマラは変化したヨシュアに気が付いていなかった。

 さらに貴具も重ねて問うてみた。

「昔は自信なさげにおどおどしていたのが、見違えるほど自信家になった感じがするんだ」

「ああ、それはそうよ。アースラから王となるべく帝王学を朝から晩まで叩き込まれているからね」

「それだけじゃないだろう」

「それだけよ。しいて言えば私の愛の力かな」

 サマラの視線はドラムをたたくヨシュアに釘付けであった。やれやれと言った顔で貴具は引き上げていった。

「サマラ様、特別列車の手配が付きました。間もなく発射できますのでお急ぎを」

「ありがとうジャスミン、永晴と百花、行くわよ荷物を持ってついてきて。ヨシュア!行きましょう」

「おうサマラ!新婚旅行の続きだな」

「お前たち、結婚したのか」

 軽足たちは驚いた。確かにずっと別行動をしていたのだった。

「あら、知らなかったの、三日前にベールの街で盛大に式を執り行ったのよ。晴明たちも呼びたかったんだけど行方知れずだったもの」

「ハルアキはフラれたのか。それはいいことだ。おじさんも祝ってやるよ」

 貴具は印を結ぶとあたり一面に花を咲かせたのだった。

「ありがとう、今度その技を教えてよ。ステキだわ」

 軽足は御堂に

「それがあのヨシュアの変わった理由かはっはっは、喜ばしいことじゃないかヨシュアもおめでとう」

 ドラムをたたいて照れ隠しをするヨシュア、永晴と百花も手を叩き祝福を送った。


 駅へと向かうヨシュアたちに

「私も同行させていただく」

 なんとバスクルであった。

「どうして、友好大使としての仕事はどうするんだ」

「軽足よ。私は天鼓様から秘密の指令を受けている。あのお方は教団がすでにアガルタにいないことに気が付かれていた。私も仲間に迎えてほしい」

「どんな指令なんだ」

「それはおいおい列車の中で説明しよう。よろしくな」

 新たなメンバーを加え列車はベールへと向かって行った。

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