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◆友好の証

 神殿の豪華な客間では晴明がタマモからこっぴどく叱られて小さくなっていた。

「一週間以上も連絡なしでどれだけ母さんが心配したか分かっているの舎利弗(とどろき)さんからは事情は聴いていたけど、私は許せないわ」

 10階層で別れた軽足団長から報告が上がっていたのだったが通信不能の件でくどくどとお説教が続いた。

「だってオーディンの馬が使えないなんて想定外だったんだもん」

 そんな言い訳しかできない晴明だが母の思いは痛いほどわかっているつもりだ。

「これだけは忘れないでね。絶対に無茶はだめよ。逃げてもいいのよ」

 晴明におでこをくっつけてそう言った。

「心配するようなことは絶対しないから安心して家で待っててね」

 落ち着きを取り戻したタマモのメダルをオーディンから排出し父のメダルと交換をした。

「これで母さんも少しは安心しただろう。やれやれだ、仕事も上の空で大変だったんだ。ミッチーもいることだし会談はうまく言ったようだな」

「うんバスクルがこの国ではとってもエライ聖人さんだったんだよ。地下世界に乗り込んで魔族を統率した功績みたいなんだけど」

「アルテミス教の教皇も焦っているだろうな聖人様が魔族だなんてここまで歪められていた歴史に驚いたものだろうな」

「父さんどうなるんだろう」

「スワン教皇次第だろう。そのまま口と閉ざしてバスクルに大人しく帰ってもらうか。真実を明かして新しいハルト市国へ変革するかだな」

「僕言って来るよ。歴史は正さなければと」

 部屋を出ようとする晴明の手をつかみ制する者がいた。

「ガストさん、止めないでよ。せっかく地底世界の魔族たちの名誉回復のチャンスなのに」

「そんなものは望んじゃいないよ」

 ガストは窓にに近寄り空を見る。

「この景色が見れただけで充分さ。この国を出てトルクメニストに向かいます。魔族と獣人が暮らす街だということなので」

「いや歴史は修正されるべきだ。この国の礎を作ったのはアルテミスの民と魔族だ。これはベゼル教によって歪められたに違いない、やつらの邪魔をするならそのこと修正すべきなんだよ」

 晴人は熱弁をふるった。後ろで拍手が聞こえた。ふりむくとスワン教皇がそこにいた。

「ドーマハルト様、その通りです、私は晴明さまに命を救われた身、ベゼル教の恐ろしさは身に染みております。聖バスクルさまもお戻りになられたということならなおさらです。正しい歴史を広めましょう」

 スワン教皇はバスクルの手をにぎった。ハルトもその上に手を置いて

「細かい調整はトルクメニストのナガクにいるゼペット・ゴランに調整を頼むがいい。きっといい結果を導き出してくれるはずだ」

 ヘイ・オン・ワイ機関の総帥を紹介した。

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