■いざ地上へ
翌朝、白鳥、バスクル、ガストをピコーナの背に乗せて地底世界の出口まで送っていたのであった。
ヨモツ大迷宮への階段へ向かうとバスクルは
「まさか地上に戻れる日が来るとはな感慨深いものだ」
しげしげと階段を見つめるガストは初めての地上世界への旅に緊張した面持ちでしきりに瞬きを続けていた。
「ガストさんそんなに緊張しなくても」あまりのビビりぶりに晴明はくすくすと笑っていた。オーク族のガストはその大きくがっしりした体格に反して繊細な心を持っているようだ。バスクルがしきりに肩を叩いて緊張をほぐしていた。階段を降りだすとまたあの不思議な光景が繰り広げられた。晴明とバスクルは問題ないがガストはよろけながらついてきていた。やがて10階層のドアが見えてきたのだった。
「このドアを抜ければヨモツ大迷宮、地上への通路になります」
晴明は扉を押し開けた。
既に誰の姿もなく10階層は静かなものであった。
「ガストさん、下でも説明した通りこの階層から上に上がるとすぐに地上です。気持ちを落ち着かせてくださいよ」
「だ、だいじょうぶ・・・バスクルもいるしうれしさでいっぱいだ」
にっこり笑う晴明
「じゃあ挨拶しに行きましょう」
迷宮の出口から晴明と白鳥がまず飛び出してきた。白鳥は入口を守るパラディンに
「お客さんを連れてきたんだ。スワン教皇に合わせたいのだけど頼めるかな」
「あんまり驚かないでね」晴明が後ろからひょっこりと顔を出しながら捕捉した。
「これは晴明さま、どのよう客人をお連れしたのでしょうか」
「ほんとにおどろかないでね」
ゲートに顔を突っ込んで二人を呼ぶ晴明、ガストとバスクルが現れると神官は武器を構えてしまった。
「武器を下ろしてよ敵じゃないんだ説明をよく聞いてよ」
思った通りファーストコンタクトから困難を極めることは予想済みではあったが白鳥の交渉術で何とかなりそうな予感だ。




