■古墳の中
「天鼓、蓬萊の玉の枝が」
カグヤは玉を宝蔵院に渡した。
「胎動し始めましたね」
アーティファクト用に製造した計器に玉の枝に取り付けて熱心に調整をする。
「ここにあるのかな火鼠の裘のアーティファクト」
晴明は卦のウインドウをオープンして宝蔵院からの指示を待っている。
「アーティファクトのアセンブリを解析しました。晴明君の卦のウインドウにコンパイル完了したので送りますね」
宝蔵院から解析して変換されたデータを晴明は受け取るとウインドウを操り始めた。
「あれ?これはどうなってるの」
晴明は地下に反応のあることに首をかしげて宝蔵院に助言を頼んだ。
「やはりここは古墳ですね。この地下にアーティファクトは眠っています」
「入口は何処だろう」
辺りを見渡して何かを見つけたようであった。
「あそこにモノリスが」
おそらくこの地を明示する石柱の抜け殻であろうもの見つけた。
カグヤがそれに触れると再び光を宿した。
「カグヤさん何をしたんですか」
再び役割を取り戻した石柱の謎を宝蔵院は聞いた。
「私の中の天照粒子に反応したみたいだ」
宝蔵院が触れてみたが何も啓示はなかった今の状態では出力が足らなかったのだろう。またしても輝きを失ってしまう。
「この下がおそらく入口ですね。久遠さんこの石柱を抜いてください」
「罰なんて当たらないだろうな。ナンマイダナンマイダ」
「久遠さん、お墓じゃないよ」
ずるずると抜き取られていくと石柱は思いのほか深く埋め込まれていた。そしてヴェロキラプトルの噴出が止まったようであった。
「ゴーレムをひっかく音がなくなったよ」
晴明はゴーレムに耳をつけて確認をした。
「なるほど、ここが入口ですか。立ち上がれゴーレム」
確かにスタンピートは止まっていた。ぽっかりと空いた穴はなだらかに下るように続きわずかに風が吹き上げてきているだけであった。ちょうど照明弾が消え辺りは真っ暗となったが晴明の光の呪文で照らし直された。
「俺から入ってみる、あとに続け」
オオガミを先頭に地面に空いた穴は一人くらいが通れる通路が続いていたがそれを抜けた内部は広い空間となっていた。
「どこから恐竜たちは沸いて来てたんだろう?」
その空間をぐるりと見渡した晴明は優曇華の実があった時のように球状の結界を見つけた。
「またヨシュアじゃなきゃ入れないのかな」
「多分オオガミさんが入れますよ」
宝蔵院は確信のある声でそう言った。




