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◆始祖の祠

 始祖の(ほこら)へはヤーシャが向かった。飛行船の茶室に新たに作られたゲートを通り宝蔵院の研究所に戻るとフー・スーがやってきて

「軽足やみんなは元気にやっているにゃ」

「ちょっと問題があってな戻ってきた。このゲートの切り替え方はわかるか。始祖の祠へ行きたいんだ」

「天ちゃんが用事があったらこの子に頼めと起動しているにゃ、ご飯作ってくれたり便利にゃ」

 からくり兵と共通のデザインの小ぶりなアンドロイドがヤーシャを見つめていた。

「コペルくんと言う名前にゃ、テンの助手AIアンドロイドにゃ何でもやってくれるにゃ」

「それは便利だ。コペル、始祖の祠のゲートを開いてくれ」

 コントロールパネルに接続ケーブルを差し込むとゲートの色が変わった。

「ありがとう」と飛び込もうとするヤーシャをコペルが止める。

「これを設置しておいてください。祠の中に置くだけで結構です。通信ターミナルとして起動します」

 それを受け取り異世界へと向かって行った。


 小さな部屋に転送された。ヤーシャは通信ターミナルを隅の方に置き外へ出ると、静かに眠っている()()()に語り掛けた。

「お前の大事なカグヤが大変だ起きろ」

「戻って来ない時間が長すぎた。これが切れたのであろう」

 からくりの胸のあたりが開きアンプルが二本転げ落ちてきた。

「これを飲ませればいいのだな」

「できれば血液に直接がいい」

「お前も来るか」

「いやここを守る指令を受けている」

「つまり心配はいらないということだな、お前たちは秘密が多すぎる」

 ヤーシャは研究所へと戻って行った。

「コペル、この液体を注射器にセットして私に、それと分析をしておけ、きっとテンが必要になるだろう」

 薬を受け取ると研究所の武器庫から何点か追加の武器を選んだヤーシャは飛行船のゲートへと戻って行った。


「早かったな何かわかった」

「とりあえずはこれだ」

 カグヤに渡された薬を二本とも注入するとカグヤの顔が安らかなものへとみるみる変わっていった。

 目を開けるカグヤは

「まだ大丈夫だと思っていた計算違いだ」

「俺の傷を肩代わりしたせいだろ、なぜわが身を顧みずこんなことを」

「なぜだろう・・・わからない、ヤーシャが懸命に看病する姿を見ていると悔しくなってきた。悔しいという表現があっているかどうかはわからないがあなたを助けるすべを考えた結果だ」

「よくわかんお姫様だな、次からは俺に相談してくれ、丁寧に断ってやるから」

「それよりこの薬はなんだ」

霊薬(ソーマ)天照(アマテラス)粒子の溶液だ。私は定期的にこれを摂取する必要があるのだ」

「お姫様の健康サプリか、次の摂取はいつ頃なんだ」

「もう摂取することはないだ迷宮を踏破できればできれば私の役割も終わるからな」

「行くかヨモツ大迷宮クエストへ」

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