■オオガミを待つチーム
「扉はあるけど階層主らしき奴はいないね」
「隠匿のスキルでも持っているんじゃないですか不意打ちに警戒しましょう」
あたりを入念にチェックをする二人だが全く動きがない。
「らちが明かないよ」
と晴明は言うと扉を開け放った。扉の奥から雲霞の如く蠅が飛び出してきた。あわてて宝蔵院をつかんで後ろに飛び退いた。扉の前にいつの間にかラフレシアの様に大きな赤い花があらわれていた。
「この匂いは、息を止めてください」
宝蔵院は杖をぐるぐると回し始めて花の周りの気圧を下げ始めた。二人の後方から強風を呼び異臭は蠅もろとも上空へと吹き飛ばした。
「この腐敗匂は麻痺成分を含んでいるようです。早く花を駆除してください」
「わかったよ」
ちはやぶるかみのちぎりしほむろあれ
おほけなしものをしたたむれ
火柱
爆発が起こり二人は吹き飛ばされてしまった。
「ごめん天鼓君、呪文が間違えたようだ」
「いいんですよ。でもガスが立ち込めている時はちょっと考えたほうがいいですね」
二人は笑い合った幸い怪我はなかったようだがあちこち打ち付けてしまった。再び扉に向かい階段を下って行った。
迷宮の外で待つ白鳥らは神官から攻略のレクチャーを受けていた。用心深い貴具からの要望であった。
「大体の攻略の仕方はわかったが十階層より下はどうして行かなかっただ」
その質問にはスワン教皇が自ら答えた。
「行かなかったのではなく行けなかったのだそこから先は、開かないのだよ扉が」
「教団のやつらはその方法を知っているのだろ」
「そこから先は何らかの鍵が必要だと結論付けられている。それで十階層をキャンプ地として設営している。そこまで行けば休息が取れるようにしている。安心しておいてくれ」
「そこまで行くのに平均三日かか、夜営の備品などで大荷物になるな」
「貴具さん、僕に任せてください、このパワードスーツのおかげでかなりの荷物は運べますから」
久遠は胸を叩いて言った。
「そうだな久遠くんは後方支援という形でついてきてもらった方がよさそうだし、そのほうが我々の負担も減りそうだ」
軽足団長も同意した。
「しかしまずはオオガミたちが来なければどうにもならないな、我々は飛行船で待機しよう、その間団長や陰陽師たちに訓練してもらおうか」
白鳥はオオガミたちとのパーティで戦闘を任せることができるのだがそう提案した。
「戦える人数は多いほうがいい久遠くんにも教えれることはできるだけしておこう」
五人は飛行船へ戻って行った。
「おっと舎利弗本部長にも報告を入れておかないと」
久遠は飛行船に戻ると現状報告をしていた。
「ヤーシャに連絡したが返信がないな。私たちの設置した通信網は機能していないのか、仕方ないなやることないのでチーム親睦会と洒落込むか」
「いいですね久しぶりの軽足隊長の飯が食えるんですね」
「いいのでござろうか、そんのことで」
「御堂さん、英気を養うのも準備の一つですよ。この先ろくなものが食べれないと考えると」
「白鳥先生も、八雲家にかなり毒されていますね。でも僕も賛成です」
なんだかんだと言いながら五人はこれから先の障害を楽しんでいたのであった。




