◆種族のために
晴明は宮殿に戻ると図書室へ向かった。
「天鼓君、飛行船がやってくるよ」
大きな装飾の美しい羊皮紙を本をばたりと閉じると
「やっと来てくれましたか」
すっくと立ちあがり本を本棚に戻すと
「いよいよ本格的にヨモツ大迷宮クエストに取り組めますね、覚悟はいいですか晴明君」
「少しドキドキするけど迷宮なんて冒険者って感じがしてワクワク感があるよ」
通信が入り宝蔵院はコールにこたえる。
「分かりましたドラゴノイドの宮殿に来るんですね。みんな待ってます」
「わかったよ。さあ、外で待とうよ」
サマラとヨシュアに声をかけて宮殿の中庭へと向かった。
空を見上げると飛行船がこちらに向かってきた。中庭に着陸をすると格納庫の扉が開いた。
「あれ何か荷物を積んできたのかな」
晴明が不思議そうにすると大きな神輿のようなものが現れた。なんとエヴァ女王が座っている。何人もの龍族がその神輿を引いて中庭に止まった。白鳥がタラップから降りてくると
「お客様をお連れしたよ、驚いただろう」
中庭にはドラゴノイドたちであふれかえった。続いてガルトで別れたドラゴノイドの女戦士イーシャが降りてきて
「みんな大ニュースよ。ドラゴニアのみんなを連れて帰ってきたわ」
どんどんと男のドラゴノイドが降りてきたのであった。中庭には歓喜が上がった。
「早くアースラさまを」イーシャが叫ぶ。宮殿からやはり神輿に乗ったアースラが皆に担がれて現れた。
「お母さま・・・」
アースラは立ち上がりエヴァのところえよろよろと近づいていった。
「アースラか・・・長い間苦労を掛けたな。こんなに立派な子供たちまで」
「エヴァ、約束を果たせました。この街でお待ちしていました」
エヴァとアースラは手を取り合って喜びを分かち合った。エヴァがアースラと袂を別った理由は種族の存続を目指してであったのであった。しかしそんな幸せの瞬間も終わりをつげた。エヴァの生命力は尽きようとしていた。それはアースラもわかっていたようだ。
エヴァとアースラは宮殿の大広間の中に運び込まれていった。
アースラは
「皆の者、これからわが一族はここに新ドラゴニアを建国する。ここにいるアースラとヨシュアを助けて暮らしていくんだ。それでいいのだなエヴァ」
「新しい王と王女を称えるがいい」
大広間は歓喜の声で満たされた。晴明は大きな拍手を送った。
お決まりの大宴会が行われた宮殿のバルコニーではサマラとヨシュアが二人で語り合っていた。晴明はイーシャから贈り物を受け取って宝蔵院を探していた。
「ここにいたんだ。宴会に参加せずにまた図書室ごもりだなんて少しくらい楽しんだらいいのに」
「いえいえいそんな暇はありませんよ。情報を集めて大迷宮に備えないと」
「それよりこれは大ニュースになるんじゃない」
イーシャから渡されたものを宝蔵院に見せた。
「これは?」
「世界樹の種だよ。エヴァはこの種から力を受けて子供を産んでいたんだって、かなり使ったはずなのにまだまだ生命力を宿しているよ」
「こんなクルミほどの大きさのものが…いいんですか。エヴァ様は大丈夫なんですか」
「子供を産まなければ必要ないんだって」
「それならありがたく研究させてもらいます。興味深い!!!」
「あとはもの言う石を探さないとだね」
「行きましょう大迷宮へ」




