◆アースラとの再会
ベールに列車が到着したのは深夜を過ぎた頃であった。寝ぼけているサマラをヨシュアは引っ張って列車から降ろしていた。晴明はホームを見回すとJが連絡していてくれたジャスミンがそこにいた。
「そいつがヨシュアとかいう男か」
何はさておいてヨシュアの品定めが始まった。
「ちょっと、まさか服を脱げとか言いませんよね」
ヨシュアは執拗なチャックに少し恐怖を感じ始めていた。
「それは宮殿に行ってからだ」
「!!やめてくださいよ、見世物じゃないんですよ僕は」
「ジャスミン、いい加減にしなさい。ヨシュアが困っているじゃない」
サマラはジャスミンを突き飛ばして手をつなぐと宮殿に向かって行った。
「天鼓君、僕らも行こう」
ジャスミンのあまりの迫力に気後れしながら後をついて行った。
「おぬしがヨシュアか、エヴァは達者でいるか」
「アースラさま、初めましてエヴァの最後の子供ヨシュアです」
「先は長くないのかエヴァは・・・よく来たなヨシュア、今日はもう遅い明日の朝ゆっくり話は聞こう、ジャスミン用意をせい」
晴明と宝蔵院とヨシュアは一つの部屋を用意された。さすが温泉の街ベールだ、部屋には大きな風呂が用意されていた。
「よかったお風呂に入ってから眠れる、みんな早く入ろう」
三人はなかよく浴槽に浸かりながら、これからの話をした。
「飛行船からの連絡はまだありませんね、予定だと先についているはずなんですけどね」
「なにかあったのかな」
「そんな後ろ向きなことを言わないほうがいいですよ」
「ヨシュア…言うようになったね。その通りだ、明日になれば軽足さんたちに逢えるね」
晴明も宝蔵院もヨシュアの変化に驚いていた。そして三人はぐっすりと眠ったのであった。
「おはよう!早く起きて」
日が上がるとサマラは三人の部屋に勢い良く入ってい来た。
「おはよう、サマラ、今日も素敵でいい天気だね」
真っ先にヨシュアが起き上がってサマラと出て行った。
「晴明君、妬いているんじゃないですか」
「そんなことあるわけないじゃない、ヨシュアが楽しければそれでいいんだよ」
朝食はアースラの前でドラゴニアのことを報告しながら取った。アースラは頷きながら聞き
「エヴァにもう一度会いたいものだな」
ぼそりとつぶやいた。
「この後はヨシュア、ベールを案内するから行きましょ」
晴明と宝蔵院を残して出って行ってしまった。
「晴明君、僕はここの図書室で本を読ませてもらうから、あとをつけて行けばいいよ」
「いいよ、僕は一人で観光するから、駅でマップももらってきたか」
晴明のベール探訪が始まった。




