表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
336/709

◆分断

 空にはうっすらと(みかづき)、新月から三日目、オオガミにとってはアウェイなコンディションだ。にらみ合うオオガミと網剪(あみきり)、先に動いたのは網剪(あみきり)であった。大きなはさみでオオガミで切りつける。その攻撃をものともせずに突っ込んでいくオオガミ、ヤーシャから受け取ったナイフは宝蔵院特製のダイヤモンドの硬度に近い特別製の合金だ。はさみとナイフがぶつかり合うとオオガミはナイフをそのままつき押していくと網剪(あみきり)の右腕を割きながら食い込んでいった。

「ぐあっっ!!」

 網剪(あみきり)は声を上げのけぞった。

「この列車にはお前さんの席はないんだよ」

 ナイフを首を目掛けて突き刺したが、一つ手抜かりがあった。最後のあがきの左腕のハサミが深々とオオガミの腹に突き刺さった。二人はそのまま列車から転げ落ちていった。

 ゴロゴロと転がるオオガミと網剪(あみきり)

「オオガミさーん!!!」

 後方車輛がなくなった晴明の乗る列車は無情にも走り去ってしまった。飛び降りようとする晴明を止める宝蔵院

「今はこの列車に残らないとオオガミ氏は大丈夫ですよ」

 彼の判断は冷徹のようだが正しい状況判断であった。不死身のオオガミより列車に残り次の攻撃に備えなければならなかった。


 ヤーシャとカグヤは列車を追うように線路をかけてきた。線路脇に血だらけで転がる網剪(あみきり)首に深々とナイフが突き刺さり絶命しているが左腕はオオガミの腹を突きさしたままだ。

「ナイフ返すぜ。悪いがそいつから抜いてくれ」

「そんなことよりそのお腹が先よ」

 カグヤが左腕を引き抜いた。見事に背中まで突き抜けて内臓がはみ出し血まみれだ。

「さらしを巻いてやれカグヤ」

 オオガミの来ていた上着を物質変換してカグヤは包帯を作り出すとぐるぐると巻き付けた。

「どうだオオガミどのくらいで動けそうだ」

「お気に入りの上着だったんだぜ、でっかく穴をあけられちまったな、今の月だと半日は無理だ。おまえたちだけで列車を追えばいい」

「強がるな、どうせここで待っていれば次の列車が来るだろうそれまで私たちと休め」

 二人はオオガミを抱えて木陰まで運んで休ませていた。


「晴明何かあったの」

「うん、オオガミさんとヤーシャやカグヤが敵の策略で離ればなれになったんだよ」

「えっ私たち四人でどうするの」

「サマラさん、僕たちはベールを目指しましょう」

「そうだよ、きっと心配なんていらないよ。タフなオオガミさんがいれば」

 四人が相談していると車掌がやってきて、後方を見て

「れ、列車がない!!どうなっているんですか爆弾を持った男がいたと思えば・・・」

「引き返してもらえませんか」

「そんなことはできませんよ。とりあえず次のメラクで指示を待ちます」

 列車は運航を続けメラクへと到着した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

↑「多くの方に読んでもらいたいです。勝手にランキングに参加していますので面白いと思ったらクリックしてもらえると嬉しく思います」

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ