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◆宝蔵院戦う

 退屈そうにお茶を飲むサマラをじっと見つめるだけのヨシュア

「ねえ、何か面白い話をしてよ」

 興味のわかない相手へのキラーワードだが、今日のヨシュアは違う

「面白いかどうかわからないけど楽器を初めて毎日楽しいんだ」

「音楽って楽しいよね。私も大好きヨシュアの故郷も音楽は盛んだったの」

「いや、晴明たちと出逢って初めて音楽をしったんだ」

「いやだ、音楽の無い世界で暮らして楽しかったの」

「知っちゃうと離れられなくなった。今も心の中でリズムを刻んでるよ。君といる気持ちを」

「どんなリズムなの」

 ヨシュアは横にある椅子を取ると手のひらでたたき始めた。ゆっくりと繰り返されるエイトビートにアクセントが重ねられていく、サマラもリズムを取り出した。

「私踊っちゃう」

 ベリーダンスのように腰をくねらせ妖艶な踊りが始まった。


「天鼓君、気が付いてる」

 操車場にいる晴明と宝蔵院はいつの間にか囲まれていた。

「メダルゴブリンだね。僕に任せておいてよ」

 背中に背負った杖を両手ににぎり振り回すと炎の塊を放ちだした。晴明はすぐに気が付いた。

「サラマンダー召還を使えるんだね」

「戦いでみんなの足を引っ張らないようにいろいろと研究した成果だよ」

 晴明たちには聞こえないだろうがヨシュアの奏でるリズムにシンクロするように火蜥蜴(サラマンダー)はゴブリンに食らいつくと火力をあげて一緒に燃え尽きていった。

「いい感じだね。操ってる奴を見つけたからここからは僕が・・・」

「いや、このまま僕が闘うから見ていて晴明君」

 宝蔵院は列車の影に隠れている人物の方へ魔石を投げたが、少し届かなかった。

「あれ、体力も付けなきゃダメか、でもいけゴーレム」

 杖を魔石に向け、変化させたゴーレムが突入していくと、一人の男が現れメダルを吸収した。

 ゴーレムの体躯にも負けない大きさの一つ目入道が現れ互いの両手をがっちりと組み合わせた。

「あれは教団の幹部です」

「知ってるよ。一度倒して警察に突き出した男だ。天鼓君前に倒した方法を見ていて」

 一つ目入道とゴーレムの間に割って入るとしゃがみ込んで大きくこぶしを突き上げながらジャンプした。見事なアッパーカットが決まり一つ目入道をノックアウトした。

「オンキリキリバザラウンバッタ!」

 メダルを取り出した晴明だが男、(さい)を見た宝蔵院が

「ゴーレム、晴明を守れ!」

 ゴーレムは晴明を抱え込んで(さい)に背を向けたとたん爆発が起こった。

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