◆オオガミの変化
車内アナウンスがトゥーべ到着間近と告げた。ナガク鉱山からの資材を積み込んでいるらしく30分程度の積み下ろし停車が告げられた。
「30分だと観光はできないねサマラ、どうする」
ヨシュアはサマラにどうするかを聞いた。
「駅の構内のお店でお茶でもする」
「はいはい、ぜひ」
ヨシュアはサマラと居れるだけで充分のようだがサマラは
「晴明、お茶しよう」
「ごめん、天鼓君を探しに行ってくるよ。全然戻って来ないんだ」
宝蔵院の座席には駅弁が置かれたままであった。晴明は列車にを移動していった。
「仕方ないわ。ヨシュア行きましょ」
「はーい」
二人きりになれることがよほどうれしいようだ。
「天鼓君、ご飯も食べずにどこにいるんだろう。あとは機関車だけだけど」
列車の先頭部に向かう晴明だがふと窓の外を見るとなんと宝蔵院が歩いていた。窓を開けて
「天鼓君、何処へ行くんだい」
「ほかの列車も見ようと思って格納庫へ行くのさ」
トゥーべは分岐点の駅で整備校区なども備えた場所であった。
「ご飯食べないとまた倒れちゃうよ」
晴明も列車を降りて宝蔵院について行った。やはり晴明も興味があったのだ。
列車に残った三人は話すでもなくオオガミがカグヤ、ヤーシャ二人の座席にやってきて
「ガキどもは楽しそうに出かけていったがカグヤはつるまないのか、もっとコミュニケーションをとったほうがいいぞ。これからの連係プレイの為にもな」
「確かにお前は自分の力もあえて見せないそぶりがあるな」
「それを言うならヤーシャ、あなたもだ」
「それに永晴と百花もな、やつらいつの間にか抜け駆けして先にハルト市国に向かったようだしな。こんなことで大迷宮攻略は心配だらけだぜ」
「そう言うならオオガミ、あなたは天鼓と代わってこの席に来れば話ができるでしょ」
「わかった、ゆっくりと話をしようぜ」
オオガミは五百年以上に渡る日本での生活でその一匹狼的な性格もこなれてきたようであった。




