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◆オオガミ驚く

 晴明は宝蔵院の隣に座り卑弥呼のことなどを話していた。

「天鼓君は稷兎(きびつ)だったオオガミさんはあのまま死んじゃったと思う?」

「こちらの時代に戻ってオオガミ氏を見て、確信したことがあります。僕たちの歴史への介入は正解だったということです」

「どうして?」

「何も変わっていないことですよ。僕らの過去への旅も歯車の一つだったということですよ」

「そうだぞ晴明、なすべきことをなしたというこたさ」

 晴明は頭をつかまれてぐいぐいと撫でられた。

「あれ?父さん、まだタウロをメダルに戻していないよ」

「生身だよ。向こうの仕事が思ったより早く片付いたんでこいつが食べたくて急いで戻ったんだ」

 フォークをテーブルのアイスバインに伸ばして、たっぷりのマスタードをのせた。

「それで天鼓君、わかったことを話してくれるかな」

「まずタカアマーラの意思、生命体の存在が人類の歴史に大きく関わっていたことです。稷兎(きびつ)黄泉津(よもつ)に卑弥呼、三人の若者によって日本神話の一編が綴られ、それはいま私たちが直面している問題の発端になったことです」

「その中に君たちが過去で行った行動が起因していたんだな」

「何らかの方法で稷兎(きびつ)、オオガミ氏の蘇生を行ったことが彼の不死の秘密でしょう」

「それで、その不死の秘密を紐解く鍵を手に入れたんだということか、それはわかったのかい」

「血清と三種の神器、それが導き出された解です。過去のオオガミ氏には三種の神器のうち鏡が宿っていましたが今のオオガミ氏にはそれがありませんでした。卑弥呼あるいはオオヤマによって血清の融合が行われたと推察します。残りの神器、珠と剣、剣は現在晴明君が所有している天叢雲(あめのむらくも)(のつるぎ)、つまり残りの珠が()()()の不死化に使われたのではないかと思いますが推察の域は出ていません」

「つまりオオガミの不死は呪いの類ではないということか」

「それはわかりません。今のところわかるのは以上です」

 その会話をオオガミも聞いていた。

「つまり俺のこの体は治らないということか、やれやれだな」

「まあ少しでも昔のことが分かったんだからモヤモヤもなくなってスッキリしただろ」

「まったくお前ってやつは」笑うオオガミだった。

「あのう、余分なことかもしれませんが、過去の出来事を見てカグヤさんのDNAを比較してみたんですが驚きました」

「天鼓君もしかして、僕もそれ興味があったんだ」

「そうオオガミ氏と一致したんです」

「あの子はオオガミの子か」驚く晴人

「いえ、クローン体です女性版の」

 オオガミに注目が集まった。

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