◆ナガクへ帰還
ゴランは机の上に山積みになった報告書に困り果てていた。
「わしは今まで組織の活動がこんなに活発になったのを見たことがないぞ。世界の危機と言ことか、はてさてどう整理していいものだか」
「おじいちゃん困っているんじゃない」
「ジョセフィーヌ!、手伝ってくれるのか」
ベールの諜報員、丸々太ったJがニコニコ笑っている。
「サマラと晴明に逢いたくてやってきてみれば、これは手伝うほかないわね」
てきぱきと情報を整理しだした。
「あれ何か音楽が聞こえるんですけど」
「あいつらが帰ってきたのじゃ、庭に出るぞ」
空を見上げたゴランとJ、海の方から軽快なメロディーと共に飛行船がやって来た。ゆっくりと着陸するとタラップから晴明を先頭に乗員が次々と下船してきた。
「晴明、サマラ!うまく合流できたんだね」
Jが手を振る。
「ありがとう、Jさんおかげさまで何とか間に合いました」
「それで晴海は何処」
しばらく沈黙する晴明に代わりサマラが
「落ち込まない美味しいもの食べて元気になりな」
「そうだね、その通り、これからサマラの歓迎会をするからJさんも僕の自慢のタウロの料理を食べてよ」
「それでは会場にわしの店を使ってもらうか」
もと山猫軒、ワイルドキャット・ハウスのことである。
「そうと決まれば父さんちょっと休憩、戻れ父さん!ノウマク サンマンダ ボダナン バク!ダッシュツー、タウロの化身」
「呼ばれて飛び出てうほっうぼっ!いよいよ歓迎会の準備だすな」
「頼むよタウロ、母さんと団長さんもお手伝いお願い」
「私も手伝います」Jはうきうきとスキップしながらついて行った。
八雲家の旅館の休憩所でコーヒーを飲む晴人
「なんとか改修の打ち合わせも終わったな。二、三日は元さんに任せて大丈夫そうだし向こうに戻ってサマラの歓迎会に参加しなくちゃな。いろいろ知りたいこともできたし」と言って宝蔵院の研究所まで愛車で向かう晴人であった。
異次元トンネルを使いミノトリアのヘイ・オン・ワイのアジトに向かいナガクまで行くつもりだった。
「オオガミさんとカグヤさん百花さんも、ちょっと来てください」
宝蔵院は飛行船の中のラボへ三人を連れ向かって行った。歓迎会どころではない古代で知った事実の検証が優先であった。




