▼八岐大蛇
「大大蛇だ!」
怪獣映画でも見ているかのように大きな蛇がカマ首をあげて泳いでくる。晴明はすでに剣を霞のかまえを取り敵を見つめている。須佐も仲間を呼び臨戦態勢をとっていた。
海面にさらに頭が現れ、八匹の大蛇が向かってきていたと思いきや、胴体から八つに分かれた頭、一体の八岐大蛇であった。
さらにその胴体には手足があり海から上がると立ち上がった。およそ十メートルを超える体長であった。
「なんだ、これじゃまるでギドラだ」
晴明の声が漏れた。
「稷兎、あれは黄泉津だ。あんな姿に・・・」
「卑弥呼、それは本当か」
黄泉津の声で大蛇は
「大人しく研究結果を渡せ、オオヤマ」
大きな手をこちらに広げた。
晴明は手持ちのメダルをすべて出して体に取り込んだ。
「それはできません!このまま帰ってください」
「なんだその小僧は、邪魔立てするなら叩き潰すぞ」
大きな足で晴明を踏みつけた。
あさみどりやなぎまけつけ
拘束
素早くよけた晴明は大蛇を術で縛ったが、口から火を吹き拘束を解いた。
四つん這いになると八つの首で辺りにいる須佐を薙ぎ払った。
「ハルちゃん、手加減しちゃダメ、みんながやられちゃう」
叫ぶタマモに大きな口を開けて大蛇が噛みついた。
加速、すんでのところでタマモを救い出す晴明
「黄泉津!!」
オオガミは剣を振りタマモを襲った首に切りつけたが、硬い鱗には傷一つ付けることができない。
「稷兎よ。また邪魔をするのか」
大きく口を広げオオガミに襲いかかろうとした瞬間
せめてものこおりもてなす
氷結
卑弥呼が間に割って入り頭を氷漬けにしたがまた別の首が襲いかかる。
しかしその首は砂浜に転がった。晴明が切り落としたのだ。荒れ狂う大蛇は標的を晴明に定めた。
晴明は仲間たちから大蛇を引き離しながら応戦している。
「天ちゃん、何か作戦はないの」
「切り落とされた頭が徐々に再生されていますが、卑弥呼に凍らされた頭はまだそのままです。つまり寒さに弱いのでは」
「わかったわ、晴ちゃんに伝えてくる」
しかし宝蔵院はタマモの手を握って止めた。
「だいじょうぶですよ、きっと気が付いてますよ」
宝蔵院は気がついていた。攻撃をしながら次なる術を構築している晴明を
しろたえのゆきをあるじす
あながちなり
せめてものこおりもてなす
氷結の海
海からの波が氷となり大蛇を包み込み氷漬けにした。晴明はオオガミと卑弥呼の元に戻り「ありったけの力で凍らせたので四、五日はあのままです、さあ逃げましょう」




