表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
320/708

▼古代の月夜

 野営地で待つ白兎(はくと)と卑弥呼はなぜか転送(インヴィーア)してきた晴明たちの目の前で待っていた。

「さすがツクヨミの卦は正確ね」

 白兎(はくと)稷兎(きびつ)に駆け寄ると手を握った。

「待たせたな作戦は成功だ、卑弥呼どうしてやってきたんだ、さあこのままミヤマまで帰ろう」

黄泉津(よもつ)はどうする。このまま放っておくのか、何をするかわからないぞ」

「卦にはどう出ている」

「何も見えないままだ、脅威であることには変わりない」

 オオガミから離れ宝蔵院はまたチーム晴明だけで会議を始めた。

「晴明君、そろそろ現代に戻りましょう」

「どうして天鼓君、まだオオガミさんの謎は解けていないよ」

「いえ、すべてわかりました。あとは現代に戻ってもの言う石(ピエトラパラーラ)世界樹(ユグドラシル)を探し出して、百花さんの血を照合していけば謎が解けるはずです。簡単な引き算で、それには僕の研究所の設備が必要なんです」

「私はもうちょっとオオガミの恋を見ていきたいんだけど」

「もう母さん、そんな野次馬根性はだめだよ。それにまだ心配だよ、黄泉津(よもつ)が何をするかわからないんだよ」

「いえ、これ以上は危険だと思います。速やかに術を使って帰りましょう」

 撤退するか継続するかで意見が分かれているのであった。


 そんなことを言い合っている間に、オオガミたちは帰路につき始めていた。

「仕方ないから、この話はあとでね」

 晴明も後を追っていく

「タマモさんも何とか説得してください。彼しか戻る術を使えないし、今夜は満月で戻るなら絶好の機会なんですから」

「天ちゃんが言うなら晴ちゃんに言うこと聞くように言ってみるわ」

「そうだ、タマモさんこのメダルに術を転移するようにお願いしてください」

「やっぱり頭いいね天ちゃんは、そのメダルがあれば私でも術を発動できるってことね」

「そうです。万が一ということで」

 タマモは晴明のところへ宝蔵院から渡されたメダルを持って向かって行った。晴明は何の疑いもなく母の願いにこたえたのであった。

「これで僕に何かあっても母さんはこれを使って戻るんだよ」と言っていた。


 オオガミたちは海沿東へ進むコースでミヤマを目指していた。

「イワナにサクヤ、こんなに旅をしたことなかったでしょ。大丈夫」

 タマモは二人に話しかけた。

「それがお腹が空いてサクヤとどうしましょうと言っていたところなんです」

「そうよね、普通の人に戻ったとか天ちゃん言ってたもんね。オオガミに言ってくるわ」

 日も暮れ浜辺に打ち上げられていた白兎(はくと)を見つけた近くであった。

「オオガミ、晩御飯にしませんか、みんなお腹が減ってると思うの」

「そうだなこのあたりで夜営するか須佐(すさ)準備をしてくれ」

「おーい、ヤクモ俺と一緒に海で魚を取りに行くぞ」

 須佐(すさ)は晴明は投網を持って海辺に向かって行った。


「何か音がしませんか?」晴明は二人で引く網の手を止めた。

「さあ、気のせいじゃないか」

 須佐(すさ)は沖に目をやると、こちらに向かってくる物体に気が付いた。どんどん迫りくる波に晴明も注意深く見つめた。

「敵襲だ!!」須佐(すさ)が叫んだ。

 やがて月明かりがその姿を照らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

↑「多くの方に読んでもらいたいです。勝手にランキングに参加していますので面白いと思ったらクリックしてもらえると嬉しく思います」

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ