▼イワナとサクヤ
社の広間に通されるとオオヤマと向かい合う形で四人は座った。
「改めてここの研究を仰せつかるオオヤマと申します」というと深く頭を下げた。
「稷兎だがオオガミと呼んでくれ、そしてこの者たちは晴明、天鼓そしてタマモと申す。オオヤマ、君を助けに来たものたちだ」
オオヤマは手を叩いて誰かを呼んでいるようだ。奥からやって来たの二人の女性であった。
「わが娘、イワナとサクヤである。この社にはこの三人しかおらん、そしてこの二人こそが研究の集大成を生む存在、この地がアマテラス粒子と龍脈の交差地点でその成果がこの二人だ」
「確かにここに上陸してから力がみなぎるように感じていた。それでどのような研究を行っているのですかオオヤマ殿は」
「タカアマーラの完成形です。ついにその手前まで漕ぎつけたところ黄泉津はこんなことを言のです。われらで独占してこの世界の王になろうと」
「あいつは何を考えているんだ。またおかしくなってしまったのか」
「私は長年、黄泉津と共に実験体を作り自らも改造しながら研究を続けていましたが、改造された私には不思議な力、ほかの世界への扉を開ける力がいつのまにか宿っていたのでした」
「不思議な力興味深い話ですね。教えてください。異世界へ行けるというんですか」
「異世界、たしかにこの国とは違う世界でした。黄泉津は興味を示して私と共にその世界を旅をしたのでした。そこで得た知識をもとに研究は大きく躍進したのでした」
「やはりそうでしたか、ユートガルトは既にほかのタカアマーラからの使命で作られていたのですね」
「天鼓君、それは本当なの」
「筏の中でもいった通り大昔から計画が続けられているんですよ」
「オオヤマ、それで彼はなぜタカアマーラの反旗を翻したんだ。向こうの世界で何があった」
「新しい世界が作れるということはその世界の支配者になれるということを、権力という欲に取り憑かれてしまった」
「バカなやつだ」
「そんなの許しちゃだめだよ。争いの禍が巻き起こるよ」
「その通りだ晴明、ところでオオヤマその二人の娘にどんな秘密があるというんだ」
「不滅の力と再生の力だ、この子らに施した改造によって不老不死の力が手に入ると黄泉津は思っている」
「不滅の力と再生の力、私に調べさせてください」
宝蔵院は目を見開いてオオヤマににじり寄った。
「彼は何者だ」
「天鼓君は凄い研究者なんです、そして平和を愛する友達だからオオヤマさんの力に絶対なれます。
「そうなのか、私はこの地で娘からその力を取り出して普通の体に戻そうと考えているんだ。手伝ってくれるか」
「もちろん喜んで」
オオヤマの手を取る宝蔵院だった。
「しかし時間がないぞ、すぐに黄泉津の手のものがやってくるに違いない」




