▼黄泉津再び
「どこへ行ってしまったんですか黄泉津は」
どうやら昔話を終わったようでタマモは残念そうな顔をしたが
「まさかキビっちゃんとハクトがそんな中だったなんて、しかも最初は卑弥呼にまで惚れられてたなんて面白いわ。で今はどうなの」
あんなに話に聞き入っていたのはオオガミの恋愛話だったのか、でも僕も意外だった。あんなに堅物さんが昔はモテモテだったなんて驚きだ。そう思いオオガミの顔を見ると今のようにすれていないし結構イケメンだ。
「いや、話は終わっていない、このあいだやっと黄泉津の行方が分かったので今こうして会いに行こうとしているんだ」
「二十年ぶりに会うことになったんですね。どうしてわかったんです」
「ヤクモ、あいつのところから三月前、使者が来たんだ。研究の成果のお披露目だと、私と白兎と卑弥呼を招きたいと」
「なるほど興味深い、その成果が見れるわけですね。私もぜひ拝見した」
「念のために白兎を先に送ることにしたんだが、どうやらきな臭い匂いがすると彼女から連絡があってこうして武装して私が出向くことになった」
「それでオオヤマさんの救出ということになったんですね」
「彼の娘二人が危機を迎えていると、かつて卑弥呼を改造しようとした続きのようなんだ」
「そんなのだめだよ。絶対に防がないと」
「まずはオキノ島に向かい人質の確保が優先ですね」
「その通りよ。阿礼、あなたたちがいればなんとかなりそうよ」
白兎が宝蔵院の肩に手をかけて言った。そしてイズモの地図を広げた。
「なるほど、作戦を考えましょう。しばらく時間をください」
宝蔵院は地図を受け取ると木陰に座り込んだ。
「きびつ様、これで大丈夫です。阿礼が作戦を立ててくれれば鬼に金棒です?あれ鬼退治に行くのにそれはないか」
「鬼退治?何のことを言っているんだヤクモ」
「いや、なんでもないです。喩えですよ、退治じゃなくて仲直り黄泉津さんを救いましょう」
「そうだな、仲間だ、見捨てるわけにはいかない」
「ヤクモ!こっちへ」
宝蔵院が晴明を呼んだ。そして作戦の概要をまずは晴明に説明をして同意を得ようとした。
「わかったよ。オオガミさんには僕が話すよ」
そしてイズモに向かうこととなったのはオオガミ、晴明、宝蔵院、タマモの四名が先発隊として進みだした。




