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◆晴明の悩み

 竜宮丸へ移動した晴明と宝蔵院

「晴明船長、お戻りになりましたか。どこへ向かいましょう」

「ナイトを融合させたのですか。これは調べるのも便利そうだ。やあ、ナイトよろしく頼むよ」

天鼓(てんこ)様、お任せください」


 宝蔵院はナイト竜宮丸をあちこち調べ始めた。

「ねえ、天鼓君話を聞いてほしいんだけど」

「なんですか晴明君」

「あのさ、母さんやみんなには聞けないんだけど女の子のことどう思う」

「女の子のことだって、聞く相手を間違えてるよ。僕はこんな容姿だし晴明君みたいにかっこいい男が何を聞きたいの」

 作業する手を休め晴明に向かい合った。

「僕ってそんなに浮気性なのかな、カグヤの時もそうだけどサマラのことも気になっちゃうんだ。晴海は僕のことをすごく気に入ってくれているけど、カグヤを見ているとなんだか目が離せなくなるし、サマラが近寄ってくるとドキドキするんだ」

「男女間の悩みですか、生物学的な見地からなら答えさせてもらいますが特に問題はないと思いますよ。雄が自分をアピールして求愛する場合もありますが、雌がフェロモンを分泌させて求愛するケースもあります。水無瀬さんもカグヤさんもサマラさんもそれぞれ魅力的ですから仕方ない悩みですよ。それで一番誰に惹かれているんです晴明君は」

「うーん、誰とかそんなことはないんだけど。このあいだからサマラとずっと一緒にいるせいかドキドキするんだ」

 思い切って演劇を見たあとの夜の出来事を宝蔵院に打ち明けた。

「性的興味を抱いているんですね。確かにあの三人の中で肉体的には一番成熟していますからね」

「天鼓君もそんな目で女の子を見るんだ。安心したよ」

「思い切って関係を持ってみてはいかがですか初体験を済ませてしまいましょう」

「な、なんてことを言い出すんだ・・・天鼓君は興味あるのあのそのあれを」

「僕は経験済みですよ。興味がわいたものでヤーシャさんに相談したら、丁寧に指導してもらえましたから」

「なんだって!!そんな」

 晴明は驚いて宝蔵院の涼しい顔をまじまじと見つめて

「だめだよ。そんなことやっぱり初めては大好きな人としなくっちゃ」

「そうですか、サマラさんも望んでいるんじゃないですか」

 それを感じているだけに晴明は

「サマラはヨシュアと仲良くすればいいんだよ」

「うーん、同族同士好きにしろという感じですか投げやりですね。そのヨシュア君にサマラは何の興味を示してないのが問題ですね」

「僕たちで何とか仲を取り持って見ようよ」

 話がうまく切り替わり晴明は安堵の表情で言った。

「この船の調査が終わったらお風呂で相談しましょうか」

「いい案が出るかな」

「ナイトを憑かせておいてくれたおかげで調査がはかどりました。オーパーツ特有のテクノロジーが満載で新たな発見ができました。元の世界に戻ったらさっそく再現してみましょう」

「ほんと、ポセイドンって名付けてもいい」

「ポセイドーンですか、ゼウス・エナリオスてのもいいですね」

 宝蔵院は晴明の意図を読み取れてなかった。


「竜宮丸はナガクまで行く先をセットしましたからこれで後を追ってくるでしょう」

「天鼓君、ナガクは港から少し離れているよ。海沿いを指定したほうがよかったんじゃないの」

「なんと足のパーツが変形して陸上歩行もできるんですよ、竜宮丸の凄いところです。装甲もかなり厚いので陸上要塞として前線に出れるようになっているんですかね」

「やっぱり兵器だったんだね。古代の失われた技術(ロストテクノロジー)ってからくり兵もそうだけど物騒なものばかりだね」

「戦いが技術を進歩させる、それが人類の原動力なんですよね。悲しいことに」

「使い方次第だよね、それが希望につながるんだもん」


 二人は新・ドーマハルト号に戻った。

「軽足さん、準備が終わったので出発してください」

「わかったよ晴明君、三時間ほどでナガクには到着するよ。船内でも見学してゆっくりしてなさい」

 新・ドーマハルト号は全長は200メートルもある、しかも最後尾には空中露天風呂だ。三時間はあっという間に過ぎるだろう。

「天鼓君、父さん自慢の空中露天風呂に案内してよ」

「ごめん、竜宮丸の解析したいんで一人で行ってくれる、一番後ろだから」

「かまわないよ。例の件の打ち合わせはナガクで」

 晴明が真ん中ほどのホールに入るとヨシュアが一生懸命ドラムの練習をしていた。

「ヨシュア、ドラムを練習しているんだ。いいリズムだよ」

「晴明、サマラは」

「バーラウンジにカグヤたちと話をしてたよ。ヨシュアも話に行けば」

「なんだかサマラに避けられてるみたいでどうしたらいいかわからないからこうして演奏しているんだ」

「それじゃ、ひと汗流しにお風呂に行こうよ。話したいこともあるから」

 ヨシュアを誘い露天風呂にたどり着いた。

「わーすごい、本当に空中露天風呂だ。こりゃ気持ちよく浸かれそうだ」

 かけ湯をして最後尾まで進もうとすると

「どうだ、晴明、すごいだろう。父さんがラフスケッチした通りにできているぞ」

 先客に父がいた。

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