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◆板前晴明

「残念だったね」

「なんてことないよ、もうすぐそこまで来ているんだから焦ることないさ、ところでお腹空かない」

「そうね朝からまだ何も食べてなかったね、でも何もないよ」

「この船のキッチンで僕が何か作るよ」

「料理までできるのもう、素敵」

 とキッチンを調べ始めた。数種の調味料はあったのだが思った通り食材は何もなかった。アイテムボックスには今回はまだ生鮮食材のストックはなかった。

「困ったな、材料が何もないや」

「外にいっぱいお魚泳いでいるのにね」

「それだ!ちょっと外に出て魚取ってくるよ」

「ええー!!本気(まじ)

 と言っている間にパンツ一丁になった晴明は船底の潜水ハッチから海へ出て行ってしまった。

「溺れたりしないかしら」サマラは心配していたが今の晴明は素潜りで30分以上可能だった。

 晴明は水面に向かい泳ぎ始めた。ある推測をもとに

 海面へ出た晴明は「やっぱりいっぱい魚が浮いている」

 新ドーマハルト号の放った衝撃波は海中を泳ぐ魚たちを気絶させていたのだった。

「やった!大物だ」何種かの魚をアイテムボックスに放り込むと再び海中の竜宮丸へ戻って行った。


 そのままの姿でキッチンに戻った晴明は

「鳴釜くん」鳴釜が姿を現す。

「ご飯炊けるよね」

「ぴっ!」

「やっぱりね、お願いするよ、シャワー浴びてくるから」

 アイテムボックスから米を取り出して鳴釜に渡した。

 シャワーから戻るとキッチンの包丁を研ぎ始めアイテムボックスからマグロを取り出した。

「こんな大きな魚さばけるの」

「任せてよ。タウロから教えてもらっているから」

 見事な包丁使いであっという間に一匹のマグロを解体してしまった。

「次はこいつだ」ヒラメを五枚におろして、次はイカを捌いていった。

 サマラは料理人のように包丁を操る晴明に驚いていた。

「ぴー!!」とご飯が告げたことを鳴釜が伝えた。

 晴明は素早くすし酢を混ぜて酢飯を作ると寿司を握り始めた。

「チューブのワサビしかないけど、食べてみて」

「どうやって食べるのこれは」

「握りずしって言ってファストフードの元祖みたいなものだよ。こうやって手でつまんで醤油をつけて」

 口に放り込んだ。

「われながら美味い」

 サマラも続けて

「美味しい、!?鼻がつんとする!!」顔をしかめるサマラ

「ごめん、サビを利かせすぎたかな。このお茶飲んで」

「だいじょうぶ初めての刺激だったから、でも美味しい、いくらでも食べれるわね」

「確か海苔もあったよな」アイテムボックスを探す晴明、巻きすと海苔を取り出してマグロの中落ちを巻いていく

「これは巻きずし、どうぞ」

「磯の香りとお魚の甘み、これも大好き」

「この魚はマグロ、タウロがいてくれたらもっといろんな料理を食べさせてあげれるのに」

「晴明が作った物が私には最高の御馳走」

 にこにことお寿司を食べるサマラを眺めて晴明も満足していた。

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