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◆マンティコア再び

 テーブルに皿を置くと籠いっぱいにパンを持ってきた。

「おばあちゃん、これは何の肉ですか」

「ガルト大鹿のすね肉の煮込みだよ。たくさん召し上がれ」

 食べてみると思ったよりも柔らかくよく煮込まれてあった。

「美味しいですね。鹿の肉はこの辺ではよくとれるんですか」

「いやそれがね、ここのところなぜか町の方へ鹿が逃げてきているんだよ。猟師の話じゃ森の奥にまたマンティコアが出たんじゃないかと話をしているよ。マンティコアは人の肉を好み獅子の体に猿の顏、毒蛇のしっぽと言った姿をした猛魔獣なんだよ。怖いね街にやってこないかみんな思っているよ」

「ギルドには討伐依頼出しているんですか」

「調査はお願いしているけど受注者が出てこないんだよ。みんな臆病者ばかりだよ」

 晴明は少し考え

「僕が退治してきます」

「急いでいるんでしょ、そんなことしてる暇があるの」

「サマラ、そんなことじゃないよ。人の命がかかっているんだから大事なことだよ」

「勇ましい子だね。よし、この婆さんも応援するよ。食べて元気つけな、もう一品用意してやるよ」

 調理場に戻って行った。

「サマラ、言っておくけどついてきちゃだめだよ」晴明はサマラを睨んだ

「その通りですよお姫様、晴明さまの足を引っ張ることになるんですからね」

「はいはい、()()()()()()


 翌朝、雨の降り続く中、晴明は一人森の奥へとマンティコアの調査に向かったのだった。

 周辺を探査しながら雨に濡れることもあまり気にせず注意深く気配を求め進んでいくと、妖怪メダルの気配を感じた、それも大量に

「十体以上いるな。間違いないメダルの魔物だ」

 あらかじめゴールドモードに変身して迎え撃つつもりだ。

「さあ、やってこいよ」

 メダルを装着するといつもの爆発が背後で起こった。その音で魔物を引き付けるつもりだった。

 思ったよりも早く敵は現れた。特に罠も用意せずに一体づつ剣で倒していくつもりだったそのほうが早いと判断した。

加速(アクセレート)!」

 正確に急所を突いてほんの数分、いや数秒で勝負はついた。十五体の討伐が終わった。

 メダルを集めた晴明は

「どうしてこんなにメダルがこんな森の中にあるんだろう」

 疑問を持つのだった。気になってしまっては仕方がない、マンティコアがやって来た方角を目指し歩みを進める。

 雨も弱まり薄日が差してきた、辺りを見渡せる高台を見つけた晴明はそこから調べてみることにした。

「周りには建物はなさそうだな!あれは」

 人影が見えた気がしたが、様子がおかしい、その場所へ急いだ。

 そして晴明は顔をしかめた、そこにいたのは、いやそこにあったものは人の残骸であった。マンティコアに襲われたのであろう、首から下は引きちぎられた遺体、ふと見るとその顔に見覚えがあった。かつて難儀鳥で晴明たちを襲った裏ギルドで雇われた男であった。近くに落ちていたカバンを調べると数枚のメダルとサマラの似顔絵が入っていた。

「あんなに言い聞かせたのに、またこんな依頼を受けて、残念だ。もっとなんとかできたのかな」

 落ち込んでしまった。晴明の所為(せい)ではなかろうに持ち前の優しさにもほどがある。墓穴を掘り埋葬して、メダルを回収してその場を去った。

 また雨が強く降り出した。

「戻ってみんなに安心してもらうか」


「ただいま」

 Jの祖母の店に戻ってきた。

「おかえり、森はどうだった」

「サマラ、マンティコアがいたけど全部やっつけたよ」

 例の男のことは黙っていた。

「ほんとうかい、これで街も安心だね。役場に連絡しておくよ。せめてもの例にこの婆が美味しい昼ご飯でも振る舞ってやろう」

 調理場に入っていった。

「もう、晴明びしょぬれじゃない、私が吹いてあげる」

 いやがって逃げる晴明の体をタオルでサマラはを拭いていた。

「仲がいいねあんたたち、ほら冷めないうちに早く食べな」

 野菜のスープとシカ肉といろいろなキノコをオーブンで焼いた熱々のお皿を運んできた。

「美味しいです、体があったまります」スープにもどうもトリュフも入っているようでなんとも言えない香が香辛料と共にハーモニーを奏でていた。

「晴明さま、通信機がやはり不調で連絡が付きませんでした、どういたしましょう」

 Jが戻ってくるとそう言って謝っていた。

「かまいませんよ、きっと僕が無事でいると信じていると思うんで、ところでやっぱり馬車は出してもらえないんでしょうか」

「馬がね風邪をひくとか言って首を縦に振ってくれないんです」

「荷車だけでも借りれませんか、ちょっと考えがあるんです」

「わかりました行ってきます」

「晴明が馬車を引っ張るの、またとんでもない力を使って」

「いや、もっといい方法を思いついたんだ」


 しばらくするとJが戻ってきて荷車を貸してもらえる段取りを取ってきた。

 晴明たちはJとともに再度馬車を貸してくれるところへ出向いていった。

 三人乗るには十分な大きさの貨車であった。その車の所へ近寄り晴明はメダルを取り出した。

「ちょっとイレギュラーだけど頼むねナイト!ノウマク サンマンダ ボダナン バク!」

 ナイトのメダルを馬車と融合させた。

「コレハナンナンデスカ?」

「馬車がしゃべった!どうなってんの」

「ナイト、悪いけどその車で動くことできるかな」

「オマチクダサイ」

 というと馬の部分に人が現れた。人力車の如く走り出した。

「付喪神を憑依させたんだよ。これで馬がなくてもドメルに行けるよ」

 あまりのことにサマラもJも声が出ない。

「さあ、出発するよ」

 ドメルにナイト改で出発した。

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