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◆ガルト共和国

「そうですよ。彼女はドラゴノイドの大切な姫なんですよ。それがこんなところにこちらが聞きたいくらいです」

「本当なのかいサマラ」

「私は自由の生きたいの」そっぽを向いてしまった。

「ハルアキ様にこの国のことをご説明したほうがよろしいですね。どこまでご存じなのですか」

(ジェイ)、まったく知らないから全部教えてほしいよ」身を乗り出す晴明

「まずはこの国は全土はガルト共和国、今から向かうハルトの街はその共和国の中でハルト市国としてスワン十二世教皇が君臨する独立国家なのです。

 晴明はバチカンを思い起こしていた。

「それでどうしてサマラが姫なんですか」

「それは前法王のスミエル八世の娘がサマラ様の転生前の身分だからです」

「つまり教皇候補ということなんですか」

「ええ、候補の三人のうちの一人なんです。スワン十二世法王はご病気でいつ亡くなれても・・・遅かれ早かれ選挙が行われる予定なんです」

「ドラゴノイドでも教皇になれるの」

「何代かに一度はドラゴノイドが勤めています。そんな存在なんです」

「すごいじゃないサマラ、国家元首になるだね」

「私は嫌よ!ねえハルアキ、私を連れて逃げてくれない」

「まさか、そんなことできないよ。それにほかの二人が教皇になるかもしれないでしょ」

「んんうん、そうなればいいんだけど」悲しい顔をするサマラ

「どうなの(ジェイ)、有力な候補者は誰なの」

「最近現れたメリムという男がなぜか有力候補として噂が上がっているんだけど」

「メリムだって!その名前の男が僕の知っている人物だとしたら大変なことになるよ、側近にザグレットとかいう奴がいるんじゃない」

「よくご存じで」

「大変だ!ベゼル教団に乗っ取られてしまうよハルト市国が」

「それは本当ですか、何とかしなくては、ゴラン代表に連絡しなくては」

 三人は黙り込んでしまった。連絡しようにも今は列車の中だ。ハルトの街に着くまではどうしようもない。

「部屋に戻るよ。いろいろ教えてくれてありがとう」

 晴明とサマラは部屋に向かった。

「サマラ、そうなると残りの一人を応援しなくっちゃね」

「それも複雑なのよね私としては」

「どうして」

「会えばわかるわ」

 意味深なことを言うサマラであった。

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