◆エヴァの娘
「古臭い呼び名ね。そうよ」
「でも、僕の友達のヨシュアとは全然違うよ。女の人はみんなそうなの」
「ヨシュアって男の子なの珍しいわね。この街にいるドラゴノイドは女だけなのよ。つまんない」
「へーそうなんだ。お願いがあるんだけどベールの街まで案内してくれないかな。仲間たちの所へ行く情報が欲しいんだ」
「はぐれちゃったんだ。ヨシュアとかいう子もその仲間の所にいるの」
「そうだよ」
晴明は情報も必要だがベールに温泉があることと食べ物に興味があったのだった。
「いいわよ、でもその前にお母さまたちの所へ行きましょう。お腹空いてるでしょう」
晴明は少し躊躇をしていたドラゴニアでの晩餐会を思い出していたのであった。
「お腹は大丈夫だよ」と言ったがベールの食事を想像してしまいお腹が鳴った。
「もう、無理しなくていいのよ、いらっしゃい」
手を引かれサマラに連れられて行った。
サマラのいるドラゴノイドの集落、ベールの街の山間部に位置する場所に着くと
集落の女たちが集まってきた。
「サマラ、若いヒューマンね。次は私よ、楽しませてね」
「バカ、そんなんじゃないわよ、お客様よ」
好奇の目で見る女たちを後目に手を引き自宅へ案内していく途中武装したドラゴノイドにとめられた。
「サマラ、お待ちなさい、アースラさまが呼んでいるから来なさい」
「もう、お母様ったら、ハルアキ仕方ないわこっちへ」
集落の奥には神殿のような建物があった。
ぞろぞろとついてくる武装したドラゴノイド、奥の間に連れてこられた晴明は驚いた。
ドラゴニアのエヴァ女王そっくりの大きな龍族が横たわっていた。
「確かに娘たちが発情しているのがわかるよ。オスの匂いエヴァの匂いがするねお前、何者なんだい」
「晴明と言います。おそらく僕の友達のヨシュアの体臭がついているのだと思います」
「エヴァの息子か通りで、そいつはどこにいるんだ」
「それがはぐれてしまって困っているんです」
晴明はこの世界へ来た理由をアースラに説明した。
「そうかい、話は分かったがそれなら私たちにも頼みたいことがある。それを聞いてくれるなら仲間と会える算段に協力してやろう」
「僕にできることでしたら」
「話は簡単だ。そのサマラを連れて行ってやってくれ」
「えー私ここを出てもいいの、やったー」
耳元でバットリが晴明に
「晴明のあにさん、断ったほうが無難でげすよ。これ以上面倒ごと背負う必要はねえでやんす」
「ぴぽぽぽっぽ」
「そうだよね鳴釜君、アースラさんわかりました。僕でよければ」
「アースラさま、こんな小僧に何ができるというんですか」
「こ奴の力侮るのではないぞ。おまえたち束になってもかなわない」
諫められた女は晴明目がけて槍を突き立てた。
しかし加速を使うまでもなく軽くかわされて槍を取られてしまった。
「わかったであろう、サマラ早く用意をして出よ」
「ちょっとお母さま早急すぎやしない。お食事をごちそうしてからでいいじゃない」
「いや、すぐに出ます」
晴明は即答したが
「食堂へ案内してやれ」
暗い表情の晴明であった。




